金沢おいしい旅

【妙成寺】(みょうじょうじ)へ行こう! 能登にも五重塔があるんです

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約9分

石川県羽咋市の 加賀百万石 前田家ゆかりの妙成寺(みょうじょうじ)に、北陸唯一の木造の五重塔があります。
江戸時代初期 加賀藩前田家の時代に建立された五重塔は、高さ34.18m。

えっこんなところに五重塔が?と思うような、田んぼに囲まれた小高い丘の上にある妙成寺の境内には、10棟もの国の重要文化財があり、荘厳かつ華麗な桃山建築の美しさをひっそりと今に伝えています。
お寺が素晴らしいだけに、この「ひっそり」が関西出身金沢移住族piyonは残念で仕方ありません。
金沢から車で約1時間。
もっと多くの人に見てもらいたい!

能登半島の付け根に位置する羽咋市の妙成寺を訪れる人は多くはなく、緑豊かで厳かな広い境内を、信じられないほど静かに拝観することが出来ます。
五重塔を中心とした美しい伽藍を心ゆくまで堪能してみませんか。

2024年5月の訪問です。

妙成寺の基本情報

所在地〒925-0002
石川県羽咋市滝谷町ヨ-1
TEL0767-27-1226
営業時間年中無休
4月~10月 8:00~17:00
11月~3月 8:00~16:30
拝観料大人(高校生)¥500
小・中学生 ¥300
アクセス■のと里山海道「柳田IC」から車で約10分
■JR七尾線 羽咋駅から北鉄バス「富来」行き乗車20分
「妙成寺口」停下車徒歩約15分
駐車場あり 無料

妙成寺とは

日蓮宗の本山である妙成寺は山号を金榮山とし、1294年 日蓮聖人の孫弟子 日像聖人によって開山されました。

加賀藩主3代前田利常公の生母 寿福院 (じゅふくいん)が菩提寺と定めたことから、妙成寺はその後約70年をかけて、重要文化財10棟という大伽藍を形成するに至ります。
現在まで、一度も火災に遭うことなく守られてきたというから驚きです。

桃山建築の華麗な造形美を見ることが出来る妙成寺の中でひときわ高く、その象徴でもある五重塔は、寿福院が願主となり4年の歳月をかけて建立されました。

本堂を真ん中にして向かって右に祖師堂、左に三光堂、の三堂横並びの配置はかつては各地の日蓮宗(法華宗)寺院で見られたそうですが、現存しているのは妙成寺だけという貴重な境内でもあります。

これらの建立を発願した寿福院の功績なくして、大伽藍を有する妙成寺が生まれることはありませんでした。

初代藩主 利家の正室まつの侍女 千代保(ちよぼ)がのちの寿福院
利家の側室となり、のちに3代藩主となる利常を出産
病死した利家を弔うため、寿福院となり法華経をあつく信仰する
息子 利常と徳川2代将軍秀忠の次女 珠姫との婚儀も果たし、妙成寺を菩提寺と定め本堂、五重塔、山門、鐘楼などを次々に建立
2代藩主 利長の死後、息子利常が3代藩主となったため、芳春院(まつ)に代わり江戸へ人質として下向
かつて仕えていた芳春院とは当然不仲だった

侍女から藩主の母へと駆け上がった寿福院の半生に俄然興味が湧いてきました。
妙成寺の寿福院のお墓にお参りしなくては。

妙成寺の駐車場

妙成寺の駐車場は無料

黒い妙成寺総門を正面に見て、車は右側からぐるっと駐車場に入ります。
テンションあがる総門からチラ見えの五重塔。

妙成寺の広い無料駐車場には、2軒とも優しいお母さんがいらっしゃる茶店と、きれいなお手洗いがあります。
歩き疲れたあとの「ひやしあめ」の美味しいこと。

妙成寺は、石川県の七尾で生まれた長谷川等伯が若い頃の信春時代に描いたとされる二幅の画を所有していて、piyonが初めて訪れた数年前、受付がある小さな建物にその一つ「涅槃図」が展示してあり、いつでもご覧ください状態であの等伯の画をこんな 無造作に 無防備に!と驚いたことがあります。
現在は石川県七尾美術館に寄託されているとか。
あ~良かった。

2024年1月1日の能登半島地震により、受付近くの石垣の一部が崩れていますが、幸いなことに五重塔や本堂など建物に被害はなかったそうです。

浄行堂

受付を済ませた先には、池には鯉が泳ぎ、緑の向こうに仁王門がそびえる癒しの空間がパ~っと広がり、何度訪れても心が洗われる場所です。

水の菩薩さま「浄行菩薩」を祀った浄行堂で、多すぎる煩悩を祓い清めます。
身体の病も心の悩みも除かれるといわれている菩薩さま2体には、水をかけ、たわしでこすって願をかけます。

「君が代」に詠まれているさざれ石は、国歌の由来となった岐阜県揖斐川町春日の産地から譲り受けたとされています。

10棟の国指定重要文化財

① 二王門

妙成寺の二王門(楼門)は、1625(寛永二)年の建立。
禅宗寺院の重層三間とは対照的な、単層三間一戸楼門という造りです。

阿形
吽形

筋骨隆々の阿形(あぎょう)・吽形(うんぎょう)の二王尊が守ります。

② 経堂

仁王門を入ると目の前にある美しい五重塔にうっとりして、経堂の存在に気付けませんでした。
写真は、経堂の隣に位置する開山堂(石川県指定文化財)。

経堂は、1670(寛文十)年 早逝した加賀藩四代藩主 前田光高の遺志により建立されました。
北陸最古の法華経版木64枚が納められています。

③ 五重塔

1618(元和四)年建立の五重塔は、高さ34.18m。
ちなみに、木造塔では日本一の高さを誇る京都 東寺の五重塔は54.8m。

扉に鳥獣や植物の多彩な彫刻が施された妙成寺の五重塔の、黄金比率の美しさにしばし立ち尽くします。
5月の陽光を浴びた姿は、金の塔の如く輝いて圧倒的な美しさ。
栃葺(とちぶき)の屋根の五重塔は、全国で唯一のものだそうです。

丈六堂(釈迦堂)石川県指定文化財

1686(貞享三)年 建立の丈六堂は、境内最も奥まった場所に独特な雰囲気を持って建っています。


中に入ってビックリ!ドーン!
天井を突き破りそうな高身長のお釈迦様がいらっしゃいます。
一丈六尺(約5m)もある釈迦如来立像が安置されていることから丈六堂
妙成寺からほど近い、羽咋市柴垣の海岸に流れ着いた像の頭に合わせて、首から下部分が作られた、と言い伝えられているそうです。

左右に控えているのは毘沙門天と持国天。

丈六堂の傍らには閻魔堂。
睨んでいるけど妙にかわいい閻魔さまがいらっしゃいます。
どうか寛大なお裁きを。

④ 三十番神堂

1614(慶長十九)年、大坂冬の陣に出陣する前田家三代藩主 利常の先勝祈願のために建立されたと言われている三十番神堂

一説に、京都北野天満宮より移建したと伝わっています。

神堂の前方には拝殿、そして五重塔の相輪も見えます。

三十番神堂拝殿

三十番神堂本殿と共に建てられたと伝わる三十番神堂拝殿(石川県指定文化財)。
明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)により神社に移築されていましたが、1990(平成二)年、現在の場所に戻され建立当初の姿に復元修理されました。
拝殿の窓から、その奥にある神堂本殿が綺麗に見えます。

⑤ 三光堂

1623(元和九)年建立の三光堂
堂内に日天・月天・明星天の三光天が安置されていることから三光堂と言われています。

⑥ 本堂

1614(慶長十九)年 建立の本堂
本尊は一塔良尊・四天王・四菩薩。

妙成寺の伽藍は、前田家3代藩主 利常の生母「寿福院(じゅふくいん)」の菩提寺として5代藩主綱紀までの約70年にわたり造営されました。

本堂を横から

⑦ 祖師堂

1624(寛永元)年 建立の祖師堂は、宗祖 日蓮聖人の像を祀っています。

かつては各地の日蓮宗(法華宗)寺院で見られた、本堂を真ん中にして向かって右に祖師堂、左に三光堂、の三堂横並びの配置は、今では非常に珍しいそうです。

⑧ 鐘楼

1625(寛永二)年建立の鐘楼
見惚れてしまう均整の取れた美しいプロポーション。

⑨ 書院

1659(万治二)年の建立の書院
5代藩主 前田綱紀が、参拝の休憩所として建てました。

書院の縁側から見る庭園は、ぜいたくなことに五重塔を借景としています。
忘れずに見上げてくださいね。

⑩ 庫裡

前田家の保護が始まる前から存在していたという妙成寺最古の建築である庫裡は、1593(文禄二)年の建立。
近くにあったスペインの日時計がめちゃくちゃ気になり、肝心の庫裡を撮り忘れました。

石臼手挽きにこだわる「そば処 浄楽」

浄楽の基本情報

住所 〒925-0002
羽咋市滝谷町ロ51
TEL0767-27-1433
営業時間11:30~14:30
定休日不定休なので1ヶ月の営業お知らせを
公式サイトとinstagramで要確認
予約電話で予約をおすすめ
アクセス妙成寺から徒歩20秒
駐車場店の前と妙成寺駐車場利用可
座席数椅子席15名
座敷4~8名 縁側2名
囲炉裏4~8名
支払い現金のみ
公式サイトhttps://r.goope.jp/jyoraku/
instagramhttps://www.instagram.com/jyorakut/

そば処 浄楽はこんなお店

妙成寺から歩いて1分もかからない「そば処 浄楽」
石臼手挽きの美味しいお蕎麦がいただける浄楽さんは、靴を脱いでおじゃましますが、椅子席がほとんどなのでラクチンです。

そば処 浄楽のメニュー

妙成寺の総門が見えている、少し開けた窓からの風の心地よいこと。

すべて税込で2024年5月時点の価格です。
■おろし +¥100
■とろろ +¥200
■そばの大盛 +¥500
■ようかん付き +¥200

  • 浄楽 蕎麦づくしランチ¥2,000
    自家焙煎珈琲付き¥2,400
  • おまかせコース 2名より要予約 ¥3,000~
  • かき揚げ付き盛そば¥1,800
  • 石臼手挽き田舎そば¥1,100
  • おろしそば¥1,200
  • とろろそば¥1,300
  • 野菜かき揚げ・天ぷら¥800~
  • そば豆腐¥300
  • そば飯¥150

<カフェタイム>

  • スペシャルティ珈琲(自家焙煎)¥500
    ランチの後は¥50引き
  • 蕎麦ようかん¥300
  • 珈琲セット¥700
    珈琲と蕎麦ようかんのセット

浄楽ランチ デザート・珈琲付き¥2,400 をいただきました。
山菜の天ぷらと野菜のかき揚げ、そば豆腐、そば飯、などいただいてるとお蕎麦も登場します。
写真のそば飯は少な目でお願いしています。
プラス¥100の大根おろしが少なすぎるのと、薬味のネギが無かったのは不満。

香り高く、風味良く、コシ・噛み応えあり、のどごし良く、のお蕎麦はとても美味しかったです。

お蕎麦、蕎麦湯、蕎麦ようかんが絶品でした。
珈琲も美味。ごちそうさまでした。

妙成寺 まとめ

大きく枝を広げた広葉樹の葉が陽光に輝く5月の妙成寺は、眩しいほど生気が満ちあふれていました。

「国宝」指定めざしての取り組みが行われているとはいえ、あまりに集客を意識しない妙成寺さんのお蔭で参拝者は少なく、神秘的で静かな佇まいの中で拝観できるのだとは思うけど、こんなに素晴らしい文化財があるのにこの人の少なさは もったいない! と思ってしまいます。

石川県の子どもたちは遠足で行くと聞きましたが、関西人金沢移住族のpiyonは金沢に来てからの数年間、能登に五重塔があることを全く知りませんでした。
石川県が誇るパワースポット 妙成寺は、石川県民が責任をもって護り、後世に伝えるべき遺産だと思います。

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