金沢市街から30分以内で行けるくつろぎの温泉宿として湯涌温泉と並んで石川県民に人気の 金沢犀川温泉 「川端の湯宿 滝亭」。
2022年4月には、渡辺明名人に斎藤慎太郎八段が挑戦する将棋の「名人戦第2局」の戦いの場にもなりました。
「石川県民割」と「五感にごちそう金沢宿泊キャンペーン」を利用して、シングルルームにお得に泊まった2022年5月下旬の宿泊記です。
滝亭の基本情報
所在地 | 〒920-1302 石川県金沢市末町23-10 |
TEL | 076-229-1122(代表) 予約専用076-229-5151 (8時~19時) |
アクセス | ・金沢駅からバスで約30分 +送迎車で約5分 ・金沢駅から車で約25分 |
駐車場 | 有り |
チェックイン | 15:00 |
チェックアウト | 10:00 |
客室数 | 27室 |
開業 | 創業60年 |
公式サイト | https://takitei.co.jp/ |
滝亭へのアクセス
公共交通機関でのアクセス
滝亭 は金沢市内のはずれ、自然豊かなのどかな田園地帯にあるので緑が多く静かではありますが、公共交通機関を利用して金沢に来られる方にはアクセス良好とは言えません。
金沢駅兼六園口(東口)から北陸鉄道バス 東部車庫行き 10・11・18 に乗って約30分、「末(滝亭口)」(すえ)バス停で下車。
バス停から 滝亭 までは途中坂道も有りで徒歩15分ほどかかるので、送迎車に迎えに来てもらいましょう。
☆必ずバス乗車前に、滝亭に電話で送迎のお願いをしてください TEL076-229-1122
☆送迎をお願いできるのは「末」バス停と滝亭間のみです
金沢駅からのタクシーの乗車時間は20~30分、距離は約9.5㎞。
車でのアクセス
車だと金沢駅から20分~30分、どんどん金沢市街から離れて行ったところの「犀川公民館前」信号を右折してからは、「えっこんなとこにホンマにあんの?」というような道を走るのでどんどん心配になる感じですが、ナビを信じて走るとすぐに田んぼが広がる開けた場所に出て 滝亭 に到着です。
年配の駐車場係さんが2名も出ていらっしゃって車の誘導をしてくださいました。
滝亭の客室カテゴリー
滝亭 の客室は、離れ犀川・別邸 辰巳亭・椿花亭の3つのタイプに分かれる全27室
離れ犀川 | 犀川を望む露天風呂付 (天然温泉) 専用ティーラウンジあり | 10室 |
別邸 辰巳亭 | 半露天風呂付 (天然温泉) | 7室 |
椿花亭 | 庭園を望む客室 (浴室なし) | 9室 |
piyonが今回宿泊したのは、辰巳亭ゾーンにあるけれど上のどれにも属さない、1室だけの特別な(?)シングルルームでした。
滝亭にシングルルームがあったとは驚きでしたが、お得な期間中空いているのはこの日のこの部屋だけ。
全27室という大きくない規模であることと、さすが金沢市民に愛されている 滝亭 、大人気です。
通常25,000円(2食付)のお部屋が県民割と五感にごちそう割で10,000円に、さらに石川県観光クーポン2,000円付きで実質8,000円という超破格値、ひとりになりたい病の治療がてらお試し気分で泊まってきました。
水色ゾーンが 椿花亭、その右側の色なしの1階と2階があるのが犀川に面した 離れ犀川、黄色ゾーンが 別邸辰巳亭、そしてひときわ小さなピンクがシングルルームです。
さて「シングルルーム」どんなお部屋なんでしょう。
池に面している 椿花亭 の客室と、その後ろ2階部分が見えているのが 離れ犀川。
ロビーラウンジでチェックイン
車が着いてからチェックインまでの、スタッフさんたちの流れるようなオペレーションはさすがでした。
焼き物のタヌキも一緒にお出迎えしてくれますが、お庭のあちこちで動物の置物を見つけることができるので探してみてください!
「県民割」と「五感にごちそう」利用で宿泊客の車のほとんどが石川ナンバーと
金沢ナンバー。
平日ですが満室です。
到着が集中するのは15:30頃。
駐車場からアプローチ、玄関へとご丁寧なお出迎えを受け、
玄関で靴を脱ぐと、そこからは館内スリッパなしの畳敷きで気持ちいい!
キャスター付きバッグも、ちゃんと台車に載せて運んでいました。
渡辺名人サイン入りの、名人戦での封じ手用紙とハサミの入った封筒などの展示がここで見られます。
正面のロビーラウンジでおひとりさまが案内された椅子は、お庭を向いていて寝てしまいそうな気持よさ。
緑が鮮やかなお庭に面して明るい開放感のある和モダンなロビーラウンジで、まずはお抹茶とお干菓子をいただきます。
お庭を眺めてほっこりしていると、いいタイミングでチェックインの手続きに来られます。
「県民割」と「五感にごちそう」の利用なので、それぞれの書面にサインなどして、わかりやすい手描きの館内案内図を見ながら説明を受け、夕食と朝食の時間を決めます。
館内は中庭を囲むようにロの字でほぼ繋がっていますが、向こうに見えている月見台のあるお風呂棟へは、辰巳亭のお部屋からはいったん外に出る必要があります。
60年前に開業してから増築に増築を重ねて現在のロの字になったと想像される館内は、ところどころけっこうな段差があります。
(離れ犀川 には2階客室へのエレベーターがあるようです)
滝亭に唯一あるシングルルーム
シングルルームの客室内
案内していただいたのは「夢がたり」というおひとりさま専用客室。
もっと狭いのかと思っていたけど落ち着きのあるいいお部屋でした。
ウェットエリアとの間はガラスで狭さを感じさせません。
狭いんですけどね。
デスクの上にはウェルカムお菓子がいっぱい並んでいて、これは驚きレベルです。
NBAの八村選手で有名になった北陸製菓の「のどぐろビーバー」、和菓子村上の「わり氷」、幸栄堂の「金澤雅」、とデスクの上に石川銘菓が並んでいます。
これだけ並ぶと嬉しいです!
アルコール、ソフトドリンク、どん兵衛、カップヌードルなどのルームサービスは23:00まで。
冷水が入ったステンレスポット、お水が満タン状態のケトル、ドリップコーヒーが2種、アールグレイのティーバッグ、と揃っています。
右奥の茶色いミニ蓄音機状のBluetooth対応ではないCDプレーヤーは、プレシニアのpiyonをかえってほっこりさせました。
CDはクラシックが10数枚。
ロビーラウンジでの館内説明時の手描きの案内図はお部屋にもあり、人間国宝 3代徳田八十吉を始めとする高名な作家さんの作品など、館内の至る所に展示してある美術品や、アートブックギャラリー、足湯などの案内がイラスト入りで非常に親切に書かれています。
1室しかないシングルルームとは言え、ちゃんとお庭の端っこではありますが緑が見えます。
右端の窓が連なっているところは、宴会場のような大広間ゾーンでした。
デスクの下に空の冷蔵庫
バスアメニティとナイトウェア
デスク横のクローゼットにあったのは鍵を持ち運ぶ古いタイプの金庫でしたが、大浴場にはちゃんと鍵付きの小さい貴重品入れがあったので、おひとりさまでも安心です。
浴衣は、大・中・小の3タイプから選び、丹前と帯と腰紐とお風呂セットがクローゼットに用意されていました。
お風呂セットは
◇滝亭フェイスタオル
◇シャワーキャップ
◇ヘアブラシ
◇髪ゴムとコットンと綿棒
USBポートなどは無く、ベッドのそばにコンセントはありました。
ウェットエリア
ワンルームにおさまった洗面とトイレがありますが広いので快適です。
お風呂はないので大浴場へ。
椅子もあって、ひとり部屋だけどタオルハンガーもあって
女性用の洗顔フォーム・化粧水・乳液と、男性用スキンケアも揃っています。
フェイスマスクにスタンドミラー、ドライヤーもあり。
極めつきの、これあるととっても嬉しいミキモトコスメは
◇メイク落としクリーム
◇洗顔フォーム
◇ローション(まろやか)
◇保湿クリーム
滝亭の大浴場
足湯もあります
大浴場の近くに足湯専用出入り口があり、スリッパを履いて外へ出ます。
足湯用タオルも完備。
屋根はない完全オープンエアなので開放感いっぱいですが、雨・雪の日に利用できないのは残念。
足湯席は4人まで
森のフィトンチッドを浴びて健康的、かつ風情のある、滝を見ながらの足湯。
「夫婦滝」という名前のとおり、加賀藩が作った用水路から流れ出る滝は2本ありますが、季節や天気によって2本のときもあれば1本のときも、という当日のお楽しみ滝なのでした。
これまた風流な。
大浴場と露天風呂
辰巳亭から大浴場へ行くにはいったん外へ出ますが、椿花亭から大浴場へはつながっているので、雨の日は大回りして行くという方法(推奨はされていないかも)もあります。
出口にある、選べるピローコーナーには、羽根枕・低反発・ジュニア用・レイヤード・空気の流れる枕、と揃っていて「早いもの勝ちです」とのことでした。
大浴場へは、辰巳亭 からも 椿花亭 からも階段があるので足元に不安のある方は、お風呂が付いた 辰巳亭 か 離れ犀川 のお部屋が安心です。
バスタオルは大浴場前の廊下にたくさん積んであり、部屋から持参しなければいけないフェイスタオルも、忘れた人用にと準備されています。
親切ですよね。
滝亭の大浴場は ●男女入れ替え制ではない ●翌朝9:30まで夜通し利用できる
大浴場棟も畳敷きで気持ち良い廊下の先には、いずれも良心的価格の、アサヒとキリンの缶ビール、キリン氷結、ソフトドリンクのペットボトルの1機と、森永のアイス1機がある自販機コーナーがあります。
まわりには何もない田園地帯だからなのか、館内説明の際「滝亭 唯一の自販機はここ」と強調されていました。
湯上がりに涼む「月見台」、奥に見えているのが、チェックインをしたロビーラウンジ
脱衣所も畳敷きで、三面鏡のある化粧台や
ドライヤーに加えてヘアアイロン完備の洗面化粧台は2つ、スキンケアコスメ、バスアメニティ、ベビーシートなどなんでも揃っている印象でした。
「金沢犀川温泉 つるつる湯」と銘打った、ナトリウム‐塩化物・炭酸水素塩泉(低張性アルカリ性低温泉)という泉質の温泉は、ぬるっとしてお肌がしっとり潤う美肌の湯。
ところが、間隔が狭く仕切りもないシャワーブースにはちょっとビックリで、ここは是非改善して欲しいところです。
露天風呂付のお部屋が半数以上あるため、大浴場が混みあうことはなかったので、このあたりのリニューアルは後回しになっているのでしょう。
木々の緑の中を落ちる滝を、見ながら聴きながら、の露天風呂はとても良かったです
夕食
夕食の時間は、18:00・18:30・19:00 から選びます。
初めての旅館おひとりさま泊で唯一心配だったのがお食事タイムでしたが、お食事処「楽膳」内の人目が気にならないカウンター席が用意され、着席すると背後の個室に出入りされるお客さんや、カウンター席の他のお客さん(この日のカウンター席はpiyonのみでした)から目隠しになる暖簾が隣にさっと引かれ、お庭と田園風景を見ながら心おきなく食事を楽しむことができました。
そしてびっくり!たった今、横で暖簾を引いてくれたスタッフさんが今度は目の前に現れお料理を運んでくださいます。
ガラス窓とカウンター席の間にすき間があったとは!
掘り炬燵になっている足元には、冷える足置き用の小さいお座布団。
いろいろ細かい配慮です。
カウンター席以外はすべて個室のようでした。
追加のない、スタンダードなお料理です
<本日の食前酒>
<前菜>
能登黒もずくと海月 焼鱧煮氷り 夏野菜生ハム巻き 稚アユ山椒煮 烏賊雲丹焼き
水無月豆腐 ペティトマトとクリームチーズ 赤西貝笹巻寿司 一寸豆
夏らしいお献立でした
<御椀>
沢煮椀 浅利と金時草真丈 能登豚 針野菜 口胡椒
<御造里>
日本海の幸 旬の7種盛り
(車鯛の昆布締め、マグロ、赤西貝、カンパチ、アオリイカ 他)
<組肴>
鰻巻織焼き 片栗田舎煮
鯛ゆかり揚げ 加賀蓮根餅 玉蜀黍(とうもろこし)
<強肴>
小鯛ひね素麺 薄菜 青柚子
<羹(あつもの)>
能登八目と蓮芋 地物木くらげ 蟹餡 山葵
<酢物>
能登柳鰆と岩蛸 防風 茗荷 陸蓮根 黄身酢
<止肴>
能登牛ロースト 海老 焼野菜 山椒ソース
<香物>
三種と自家製じゃこ
<御飯>
金沢山間地米 こしひかり「滝の精」
なんとお米は、我が家でいつも食べているJAほがらか村の「滝の精」でした。
金沢山間地産コシヒカリ「滝の精」はお手頃価格なのに本当に美味しいんです。
<止椀>
金沢味噌と八丁味噌の袱紗仕立て
<水菓子>
季節のフルーツと白桃ゼリー
<甘味>
葛餅
ごちそうさまでした。
お腹いっぱいです。
石川県の旬の食材を生かしたお料理の数々でしたが、お味はいたって「ふつう」でした。
翌日の朝食の時間を記した紙を受け取ります。
親切なご配慮です。
piyonも含め、記憶力が怪しい世代がここには多そうですからね。
朝食
朝食の時間は 7:30 ・8:00 ・8:30から選びます。
昨夜同様お味はふつうです。
のどぐろは恐らく石川県産ではない、と思われるお味でしたが、メニューには「日本海産のどぐろ一夜干し」と書かれていて、産地に偽りなし、と好感が持てました。
特筆すべきがそこか?と突っ込まれそうですが。
しかし固形燃料を使った簡易卓上コンロでは火力が弱く、やはりせっかくの のどぐろ は強火の遠火で皮面はパリっと中はふんわりと焼いて欲しいところです。
館内施設
わかりやすい手描きの案内図は2バージョンあり、ロビーラウンジでいただいた古い方には載っていませんが(こんなサービスあるよ、とのご説明はちゃんといただきました)お部屋にあった新しい案内図には、最近始まったサービスだというロビーラウンジでのフリードリンクサービスの時間帯など書かれていました。
夜のロビーラウンジ
露天風呂付の広いお部屋でおこもりされる方が多いのか、コロナ下ということもあるのか、大浴場以外の館内でほとんど人に会うことがなく本当に静かでした。
このロビーラウンジ以外にも、離れ犀川の宿泊客だけか利用できるティーラウンジ(7:00~24:00)もありますからね。
ロビーラウンジ入り口にはドリンク&スナックバー「木の香」なるものがあり、宿泊者なら誰でもロビーラウンジで利用できるという、なかなか太っ腹のありがたいサービスです。
OPEN 16:00~9:30
レセプションタイムの16:00~18:00と、消灯時間の24:00~7:00は、客室へのお持ち帰り専用となります。
さらにさらに、ここロビーラウンジでは、19:00~23:30 の間、能登ワインと冷酒のフリーサービスがあります。
さらに「夜鳴きチキン味ラーメン」と、金ごまアーモンドチョコレート、種なし梅、おかきなどおつまみもあり、セルフですがこういうサービスは嬉しいですよね。
チキン味ラーメン用に置かれたスパイスには、ガラムマサラまでありました。
驚くべきは、石川が誇る九谷や大樋焼の器がさら~っとさりげなく使われていること。
割り箸置きの器が二代 徳田八十吉さんですよ~
アートブックギャラリー
滝亭 でpiyonがもっとも気に入ったのが、辰巳亭の2階にある「Art Book ギャラリー こもれび」です。
こちらの本は、お部屋に持ち帰ることも可能ですが、ギャラリーへの返却が必要です。
マッサージチェアも2台あり。
広すぎない書斎感のある空間の壁面を埋めるのは小説や文学ではなく、「きりのなかのはりねずみ」「かいじゅうたちのいるところ」などの世界の絵本、廃墟モノ、星野道夫や岩合光昭の動物モノ、絶景モノ、建築、美術画集などなど、コロナ下でなければここで一夜を明かしたいほど魅惑のラインナップでした。
OPEN 14:30~9:30。
セキュリティカメラが設置されているのでおひとりさまも安心ですよ。
なんとここにもコーヒーマシン、お茶やお水、お菓子がありました。
滝亭さんホントに太っ腹。
喫煙所
ロビーラウンジ入り口近くにある格調高い喫煙室
チェックアウト
チェックアウトしたら「ほな さいなら」と帰りはそっけないところもありますが、ドアを出るときにずらりとスタッフさんの館内からのお見送りがあり、駐車場を車で出るところまでずっとスタッフさんの連係プレーで笑顔のご挨拶がありました。
帰り際に飴をお土産にくださった若き常務 谷崎康織氏は、元気と笑顔がいっぱいの接客が非常に印象的で、上に立つ人が率先して見せるおもてなしの姿が、滝亭 の全スタッフさんにも共有されていると感じました。
後日、谷崎常務からご丁寧な手書きのお手紙をいただき、箔一の「金花茶飴」のおいしさと共に余韻が残る滝亭での滞在となりました。
ありがとうございました。
滝亭 まとめます
金沢の街から少し車を走らせただけで、日常の喧騒を忘れられる静かな温泉宿 滝亭 。
お料理はふつうだと感じましたが、今回のシングルルームではなく、いずれも客室の露天風呂に温泉が引かれている 離れ犀川 か 別邸辰巳亭 で優雅な時間を過ごしていたら、間違いなくさらに評価が上がったでしょう。
いいお部屋がたくさんあるので、洗練された高級旅館をイメージしていましたが、かしこまった接客ではなく素朴な対応で、いい意味で気さくなお宿 滝亭 でした。