小さな林の中に5つの離れの宿泊棟を持つ「オーベルジュあかだま」は、地元の旬の食材を存分に生かしたお料理を味わうお宿です。
アクセス良好とはいえない長崎県の端っこの地に、西海市大島近海で獲れるこの上なく新鮮な魚介を楽しみに全国から宿泊客が訪れる理由は、ここでしか味わうことのできない唯一無二のお宿だからに他なりません。
あかだま体験のためだけに長崎へ行く価値のある、そんなオーベルジュあかだまをご紹介する2024年10月のオーベルジュあかだま宿泊記です。
オーベルジュあかだまの基本情報
住所 | 長崎県西海市大島町寺島1383-4 |
TEL | 0959-34-2003 |
アクセス | ■ハウステンボスから車で約30分 ■福岡空港から高速利用で約2時間 ■長崎市内から車で約1時間20分 |
駐車場 | 無料駐車場あり |
チェックイン | 15:00 |
チェックアウト | 10:00 |
客室数 | 5棟 |
開業 | 2003年 |
オーベルジュあかだまへのアクセス
長崎県西部 西彼杵半島(にしそのぎはんとう)の造船の町 大島の手前にある小さな「寺島」へは、ハウステンボスから車で約30分ほどの大島大橋を渡ります。
大島大橋を渡ってすぐの左手にあるオーベルジュあかだまの案内板を目印に左折して、道なりに進みます。
着きました。
周辺には何もないここがオーベルジュあかだまなのです。
オーベルジュあかだまとは
オーナーシェフの中村 浩徳さんは、東京のフレンチの有名店で修行されたのち故郷に戻り「フレンチレストランあかだま」を経て2003年「オーベルジュあかだま」を開業されました。
ご家族で営んでいる美食の宿は、都会で味わうことはない「控えめだけどじんわり伝わる」心のこもった接客も魅力で、年月を重ね、ひとつ、またひとつ、と広々とした一軒家のような離れの客室が増えて、あったかさは変わることなく進化を続けています。
オーベルジュあかだまの前身である「赤玉食堂」を営んでおられたおじいちゃん(オーナーのお父さま)がオーベルジュでもレストランのフロアに立ち、突き抜けた明るさととびきりの笑顔で心からの歓迎をしてくれて、帰る際には万歳三唱で見送ってくれていました。
そんな素朴すぎる温かいおもてなしのおじいちゃんの存在も、オーベルジュあかだまの心がほっこりする思い出です。
4度目、15年ぶりに訪れたオーベルジュあかだまにおじいちゃんの姿はありませんでしたが、オーナーさんの息子さんがフロアに立ち、和やかな雰囲気をそのままに立派に仕切っていらっしゃって、おじいちゃんどんなに天国で喜んでいらっしゃるかと胸が熱くなりました。
緑の木立の中に建つ5つの離れは、時間に追われる日常を忘れてのんびりと過ごすのにぴったりなゆったりとした造り。
虫が苦手な方や、小食な方、本格的なフランス料理や洗練された接客やおしゃれ空間を期待する方にはおすすめしません。
海に囲まれた島のオーベルジュだけどオーシャンビューではなく海はちょこっとしか見えない、でもここにはかしこまったホテルマンも気取ったソムリエもいない、澄んだ空気や鳥のさえずり、やさしい木漏れ日のような心遣いを感じながら、旬の食材で埋め尽くされるディナーと朝食に圧倒されて幸せに浸る美食と癒しのお宿なのです。
オーベルジュあかだま全5棟の客室
1棟目 スーペリアツイン | 48㎡ フラットタイプ | セミダブル2台 木越の大島大橋と海が見える |
2棟目 デラックススイートツインA | 94㎡ メゾネットタイプ | セミダブル2台 エキストラベッド使用で4名迄可 1階にダイニング・リビング 2階にベッドルーム |
3棟目 デラックススイートツインB | 78㎡ メゾネットタイプ | セミダブル2台 エキストラベッド使用で4名迄可 2階にベッドルーム |
4棟目 デラックススイートツインC | 72㎡ フラットタイプ | セミダブル2台 エキストラベッド使用で3名迄可 |
5棟目 ジュニアスイートツイン | 42㎡ フラットタイプ | セミダブル2台 |
15年前に訪れた時は、4棟目と5棟目はまだありませんでした。
林の中に建つ5つの客室は、すべて独立した離れ。
4棟目 デラックススイートツインCへは、こんなアプローチ。
虫やクモの巣で騒ぐ方にはおすすめできないオーベルジュあかだまです。
デラックススイート ツインC
デラックススイート ツインC のメインルーム
4棟目のデラックススイート ツインCは、フラットタイプの73㎡。
10年ぶりのあかだまに、こんなおしゃれなお部屋が誕生していてビックリ!
客室にカーテンが無いのもオーベルジュあかだまの個性のひとつです。
なんという開放感‼‼‼
窓の外の緑と調和した木のぬくもりを視覚いっぱいに感じるお部屋です。
piyonは過去に、1棟目スーペリアツイン、2棟目デラックススイートツインA、3棟目デラックススイートツインB、の3タイプに泊まったことがありますが、新しいこともあり断然今回のデラックススイートツインCが気に入りました。
音漏れを気にすることなく、オーディオシステムを堪能できる独立したコテージ。
センスを感じる本や雑誌も置かれています。
お部屋でウェルカムドリンクのハーブティーをいただいて、あ~またここに帰って来ることができたなぁと幸せに浸りながらのチェックイン。
木のぬくもりに癒やされるデラックススイート ツインCは、ロフトにあるベッドも使えば3名まで宿泊可能。
緑を眺めるテラスに面したお庭には野鳥のための巣箱が設置されていて、初夏には鳥のさえずりでさわやかに目覚めるあかだまの朝。
どのお部屋からも海はチラ見え程度です。
デラックススイート ツインC のベッドルーム
シンプルなベッドルームは、緑のコーナー窓が素敵。
コンセントのあるデスクもあるのでPC作業もOK。
クローゼットはベッドルームの他に廊下にもあります。
デラックススイート ツインC のウェットエリアとバスアメニティ
デラックススイート ツインCのバスルームは、これ以上ない開放的で贅沢なスペース。
お風呂はファミリーで入れる大きなジャグジーバス。
シャワーはレインシャワーもあり。
- ボディウォッシュ
- シャンプー
- コンディショナー
- Dove メイクも落とせる泡洗顔料
冷蔵庫に冷やされているバラの花びらを浮かべたジャグジーバスで、またまた「あかだまに帰って来たぁ~」と究極のリラックス。
なんせ15年ぶりですから。
こちらは脱衣室。
- フェイスタオル
- バスタオル
- バスローブ
- ナイトウェアはセパレートタイプ
ミニバーから伸びる洗面台には、スツールもあります。
- ハンドタオル
- ドライヤー
- 歯みがきセット
- シャワーキャップ
- ヘアブラシ
- かみそり
- 綿棒
オーベルジュあかだまのナイトウェア
柔らかな着心地のセパレートタイプのナイトウェアは、piyonが20年前に宿泊してお部屋もお料理も感動(特に朝食は忘れられない❤️)したお宿 山形県かみのやま温泉の名旅館「名月荘」のもの。
オーナーさんご夫妻が泊まりに行かれたときに気に入って、名月荘のタグもそのままにして採用されたそうです。
デラックススイート ツインC のミニバー
カウンターの下の冷蔵庫には、ジャグジーバスに浮かべるバラの花が入ってます。
リビングエリアのカウンターにある手洗いボウルは、有田焼の「しん窯 青花」。
オーベルジュあかだまではいろんなところで「しん窯 青花」に触れ、そのかわいさに魅了されます。
- コーヒーメーカー
- 電気ケトル
- 日本茶と紅茶のティーバッグ
- 冷水のポット
カップや急須はもちろん有田焼の「しん窯 青花」。
デラックススイート ツインCのロフト
広々の玄関からロフトに上がる階段。
デイベッドがあるロフトから、リビングを見下ろせます。
デラックススイート ツインB
デラックススイート ツインBの1階
何と言ってもこのオーディオセットに啞然のツインB。
1950年代のJBLのスピーカーだそうです。
東京からの常連さんが置いて行かれたとか。
ド迫力です!
2階建てのこのお部屋にはいろんなタイプのソファなど椅子がたくさん。
「しん窯 青花」の手洗いボウルのあるミニバー。
デラックススイート ツインBの2階
デラックススイート ツインBは2階にバスルームとベッドルームがあります。
2階にあるトイレはオープンタイプ。
ここの手洗いボウルも有田焼の「しん窯 青花」です。
1階のトイレは独立してます。
バラを浮かべるジェットバスも2階に。
ハンモックもあります。
2階も夕暮れのひとときに読書をしたくなるような広々空間。
2階にベッド2台とデイベッドがあり、定員3名。
オーベルジュあかだま 驚愕のディナー
森の中のレストラン棟
森の中でいただく驚愕のディナーはレストラン棟へ移動して(1分もかからない距離)、これでもかと地元の魚介でもてなしてくれるコースのお料理をいただきます。
ワインを始めとしてドリンクの品揃えも豊富。
器はほぼすべて有田焼の「しん窯 青花」。
オーベルジュあかだまで「しん窯 青花」に魅せられ有田で買い求めた器は、我が家でも長年大事に使っています。
サービスはシェフの息子さんとマダム。
まだお若い息子さんですがpiyonたちとの会話も弾み、写真お撮りしましょうとアングルを変えて何枚もシャッターを押してくれたりと、天国のおじいちゃんがさぞお喜び……とまたまた胸をが熱くなるのでした。
アミューズは5品
- 佐世保 さとむら牧場のモッツァレラチーズのカプレーゼ
- 旬の梨とキスの洋風天ぷら(ベニエ)
- 炙ったアジの生春巻き
- お魚のジュレと蒸し伊勢海老
- 自家製カラスミ洋風茶碗蒸し(フラン)
これから調理していただく活き活き伊勢海老とサザエ登場。
ビッグサイズと活きの良さに一同驚きの歓声。
伊勢海老は2人で1尾いただきます。
8種の魚のカルパッチョ
カルパッチョはシマアジ、ネリゴ(カンパチの若魚)、アオハタ、イサキ、イトヨリ、メダイ、真鯛、平目、と8種類もの高級魚。
新鮮‼贅沢♡
ブラックベリーのソースとお魚の上にはハーブのソースとサルサソース、とソースも3種類。
お刺身はサザエ、伊勢海老、アワビ
サザエ、伊勢海老、アワビのお刺身は、醤油とバルサミコ、ケチャップと柚子胡椒、地元で採れたライム、の3種類のソースでいただきます。
伊勢海老の尻尾の部分は火を入れてあとで再登場するのでそのままにしてね、とのこと。
頭は翌日の朝食でスープに姿を変えます。
どれもプリップリの鮮度ですが、コリッコリのアワビは絶品‼‼
サザエのつぼ焼きはブルゴーニュ仕立て
サザエのブルゴーニュ仕立て。
次から次へと繰り出される海鮮の海に溺れそう。
豪華なラタトゥイユ
西海市の季節の野菜、網焼きにした真鯛、伊勢海老、佐世保のハッピーポーク、生ハムと豪華な食材てんこ盛りのラタトゥイユは、パプリカのソースでうまくまとまっています。
冷製スープ
黒トリュフを散らした、地元のサツマイモとじゃがいもの冷製スープ。
真鯛のアクアパッツァ
真鯛の一番おいしいところをアクアパッツァで。
豊潤な旨味を味わい尽くす幸せ。
伊勢海老のソテー
お刺身のときに、残しといてね、と言われていた伊勢海老の尻尾がソテーで登場。
伊勢海老の甘さとコクが凝縮されたアメリケーヌソースで。
長崎牛のロースト
お魚だけではありません。
最後に薪で燻製にしてるという長崎牛のイチボ。
お肉の前にお腹の空き具合を聞いてくれて、ボリュームを決めます。
もちろんお腹いっぱいですが重たいソースのフランス料理ではないので、プレシニアpiyonも最後まで美味しくいただけました。
デザート
紫芋の入ったバスクチーズケーキ、キャラメルと牛乳のアイス、ぶどう。
朝から大宰府天満宮で梅ヶ枝餅を半分口にしただけで、お昼も抜いてあかだまでの夜に備えたおかげで、残すことなく驚愕のディナーを最後まで楽しめました。
誠実なお人柄がしみじみと感じられるオーナーさんご家族のおもてなしと、気取らなくていいリラックスしていただけるあかだまのお料理はやっぱり最高でした。
オーベルジュあかだまの圧巻の朝食
朝食に備えて少しでもお腹を減らそうと少し歩いた場所から見える大島大橋に朝日が昇ったのは、10月初旬の6:45。
朝のあかだまレストラン棟も素敵です。
オレンジジュースとミルクのピッチャーも有田焼の「しん窯 青花」。
生ハムサラダとリゾット。
真鯛と平目のミネストローネ仕立てのリゾットが、やさしく内臓に響きます。
焼き立てのアップルシナモンパンと山食パンは当然食べ切れないボリュームなので、お土産にしていただけます。
そして前夜の伊勢海老のお出汁が染み渡るスープ。
かわいいサイズのオムレツ。
ズラリと並んだ、イワシ、イトヨリ、真鯛、平目、シマアジ、アジ、ネリゴ、イサキ、ヘダイの網焼きは地元のライムを絞って。
夕食だけでなく朝食までも、ここまでもてなしてくれるお宿をpiyonは知りません。
大島近海で獲れる海の恵の素晴らしさを知ってほしい、というオーナーさんご家族のふるさと愛がびんびんに伝わる素晴らしいお料理の数々でした。
ごちそうさまでした。
オーベルジュあかだま まとめます
ここは特別な場所。
ここにしかない安らぎの宿、そして美食の宿オーベルジュあかだま。
雑踏とは無縁、外を気にするカーテンもない。
ご家族の心のこもったおもてなしで、自然を感じながら日々のストレスから解放されて、SNSやスマホの存在も忘れて心も身体もリフレッシュ。
素朴で控えめなオーナーさんご家族のさりげない優しさを思い出して、ただひたすらに海の恵を味わいたくて、また訪れたくなるオーベルジュあかだま。
連泊したいけど、それを許す胃袋の許容量が著しく減少したプレシニアは1泊しかできないのが悲しい限りなのです。