細い路地まで観光客さんでいつも賑わう金沢の人気観光スポット ひがし茶屋街 の一角にある 「蕎味 櫂」(きょうみかい)さんは、風情ある町家でいただく蕎麦懐石のお店です。
2015年に開業、評判は耳にしていましたが時を待たず、2021年にはミシュランの星も獲得した人気のお店への訪問がようやく叶いました。
2023年1月の「蕎味 櫂」お昼のお料理をご紹介します。
「蕎味 櫂」 の基本情報
住所 | 〒920-0831 金沢市東山1丁目23-10 |
TEL | 076-252-8008 |
定休日 | 日曜、第1月曜日 |
昼のお料理 | 12:00~12:30(最終入店) ・7,700円・12,100円 税込、サービス料別 |
夜のお料理 | 18:00~18:30(最終入店) ・12,100円・16,500円 税込、サービス料別 |
お席 | テーブル席3卓 1グループ最大4名 |
アクセス | 金沢駅から車で約10分 |
駐車場 | なし |
予約 | 完全予約制 ①TEL 06-252-8008 (受付時間 10:00~23:00) ②テーブルチェック(レストラン予約サイト)から https://www.tablecheck.com/ja/shops/kyoumi-kai/reserve |
蕎味 櫂 とは
ひがし茶屋街の一角で暖簾をかける 蕎味 櫂。
間口が狭く奥に長く伸びる「ウナギの寝床」の町家が多いひがし茶屋街の中にあって、角地でひときわ目を引く3階建ての外観は大正時代に建てられ、100年の歴史を今に伝えてくれています。
大正ロマンの香り漂うすりガラスの凝った窓を眺めるだけでとても癒される空間でいただくのは、お蕎麦をメインとしたというよりもお蕎麦も有り、の旬の素材を存分に生かした季節のコース料理です。
店主さんがおひとりで厨房にずっといらっしゃるので、どんな方が繊細なお料理を作っていらっしゃるのか脳内を想像だけがグルグル。
最小限に留めたリノベーションが金沢町家の雰囲気を教えてくれます。
3テーブルのみのお店は上品なご夫婦おふたりで営んでおられ、とても静かな空気が流れています。
店内スペースは外観から想像するよりもこじんまりと小スペース、おそらく定員10名くらい。
予約が取りにくいはずです。
日本酒は石川県の地酒・ワインは国産を中心にしたラインナップ。
蕎味 櫂 へのアクセス
12:00きっかりに開店するようで、少し前にお店に着きましたがまだ暖簾が出ていないので、ひがし茶屋街のパワースポットである「宇多須神社」へ足を延ばします。
と言っても 蕎味 櫂 から歩いてスグです。
芸妓さんと旦那衆が華やかに行き交った江戸時代も今も茶屋街の文化をこの地で見守り続けた「宇多須神社」は、前田家ゆかりの神社として前田家の家紋「梅鉢紋」をあちらこちらで見ることができ、毎年行われる節分祭りではひがしの芸妓さん全員が踊りを奉納し、福豆をまき、無病息災を願う、という金沢の艶やかな冬の風物詩のひとつになっています。
また「宇多須神社」には10体の神様が祀られ、そのご利益の多さから金沢でも強力なパワースポットとして人気を集めています。
さらにこちらで神前結婚式を挙げた新郎新婦と親族一同さんがひがし茶屋街を練り歩く、なんて風情ある光景に出会うこともあります。
蕎味 櫂 は「宇多須神社」を背にして左へ歩いて1分の場所にあり、角地で堂々と存在感を放っているので細い路地に町家が連なるひがし茶屋街のなかでも非常に見つけやすいです。
<城下まち金沢周遊バス・北陸鉄道の路線バス・西日本JRバス>
「橋場町」(はしばちょう)バス停から徒歩約8分
<金沢ふらっとバス材木ルート>
「梅の橋」(うめのはし)バス停から徒歩約5分
蕎味 櫂 のお料理
お昼のコースは2種類
お昼は6,600円と10,450円(税込)のコース。
連れて行ってくれたmellmuちゃんに頼んだ電話予約の際、食いしん坊の我らは迷わず10,450円のコースをお願いしてました。
1ヶ月以上先の希望の日にちしか取れなかった人気のお店です。
「お待ちしてました」と思ったよりお若い女将さんに温かくお出迎えいただきます。
金沢セリのお粥で冷えた身体もほっこり
金沢セリのお粥 で始まります。
金沢セリとカニの身のやさし~いお味のお粥は、若いカラスミでアクセントを付けながらもあくまでもお上品で、寒いこの季節にほっこりとさせてくれる一品。
柚子の香りもさわやかです。
加賀野菜のひとつである金沢セリはクセがなく程よい香り、と関西人のpiyonは感じます。
素朴な蕎麦がき
続いて蕎麦がき。
蕎麦の実の食感がわずかに残る、ぷるんとした手臼挽きの蕎麦がきを、菜の花とふぐの子味噌が引き立てます。
シンプルな蕎麦の風味と素朴な味わいが広がり、懐かしさを誘います。
鰤のお造りは冬ならではの美味しさ
辛味大根とわさびがたっぷりと添えられた鰤のお造りは、さすがの日本海の旬の美味しさを主張していました。
冬の北陸で味わうぜいたくな自然の恵みに心から感謝せずにはいられません。
幸福感に浸る 鯛と白子のお椀
鯛と白子のお椀
鯛と白子の鮮度が光る上品なお出汁のお椀には、おぼろ昆布が添えられています。
海の幸にも山の幸にも恵まれた金沢に、料理人や美食家たちが全国からこぞって集まるのも大きく頷けるお椀で、金沢に住まう幸せを噛みしめます。
見た目も賑やか 八寸
続いて彩りにぎやかな八寸です。
ズワイガニはなんとか酢のジュレ寄せ。
接客をされる女将さんは静かな落ち着いた方でお声もお上品、いろいろ質問したいpiyonもここでは憚られる、そんな静謐と呼ぶにふさわしい雰囲気が良くもあり消化不良でもあり。
旬の甘い能登牡蠣(牡蠣がNGのmellmuちゃんはもずくが隠れた赤貝でした)
他に鯛の蕎麦寿司、大根漬け、合鴨のロース、子持ち昆布、松葉に黒豆
どれもお上品なお味です。
箸休め的 温かいお蕎麦
温かいお蕎麦
箸休めな感じのお蕎麦はかわいらしいサイズですが、個性的なすっぽんのお出汁がインパクトあり。
生姜が効いてます。
お蕎麦はコシはあるけど意外な極細でした。
甘くてふんわり 海老の天麩羅
カラリとではなくてふんわりと揚がった甘く柔らかい 海老の天麩羅は甘塩でいただきます。
美味しいです。
お蕎麦で〆る
のど越しが良く極細のお蕎麦です。
香りはあんまり感じないなと思ったpiyonでしたが、若いmellmuちゃんの「香り高いお蕎麦だった」という言葉により、嗅覚が著しく鈍ってきたプレシニアの哀しい現実を突きつけられる結果となりました。
福井や富山で採れた蕎麦を手挽き石臼で製粉したというお蕎麦よりも、食材そのものをじっくりと味わえるぜいたくな蕎麦前のお料理の数々が印象に残ったのは、きっと極細のお蕎麦を物足りなく感じるpiyonの個人的嗜好のせいなのでしょう。
甘味はいちご大福
蕎麦粉を練りこんだいちご大福が最後に登場。
ふんわり柔らかいお餅と餡といちごのバランスがちょうど良くて素晴らしく、非常に好みのお味でした。
蕎麦の香りはあくまでもほんのりと。
女性はみんな嬉しくてニッコリなはずの美味しさでした。
ごちそうさまでした。
他の2組のお客さんはやはり観光客さんでしたが、全9品のお昼のコースは2時間以上かかるので時間に余裕を持っておでかけくだい。
2つのコースの違いは、途中2品があるかないかの違いでした。
お店を後にする際 ついに店主さんご登場。
勝手に頑固一徹な蕎麦職人さんを想像していましたが、全く違う印象でちょっとビックリの、あたたかな微笑みをたたえたとても感じの良い方でした。
蕎味 櫂 まとめます
レトロな格子の窓からこぼれる光がやさしく包む空間で、静かな雰囲気の店主さんご夫婦の穏やかなおもてなしでいただく 蕎味 櫂 のお蕎麦懐石。
北陸の旬の素材の良さを生かし丁寧に丁寧に仕上げられたお料理も、雰囲気も、器も、立地も観光客さんに喜ばれるお店だと思います。
ぜひ、芸妓さんと旦那衆が守り続けた粋な金沢の文化に思いを馳せながらひがし茶屋街を歩いてみてください。