金沢の人気観光スポット ひがし茶屋街 に2022年にオープンした「武作(ぶさく)」さん。
前回、ひがし茶屋街散策の途中、たまたま通りがかったランチタイムのお食事が美味しくて驚きの高コスパだったので、夜のお料理はいかばかりかと期待大で伺いました。
2023年1月の、期待を裏切ることのなかった武作のお料理を紹介します。
ランチタイムの記事「【武作】ひがし茶屋街で見つけた和とフレンチの融合」は→こちら
「武作」の基本情報
住所 | 〒920-0831 石川県金沢市観音町1-5-12 |
TEL | 076-255-2034 |
営業時間 | 11:30~14:30 18:00~21:00 |
定休日 | 月曜日 |
予約方法 | 電話orテーブルチェック (ネット予約システム) https://www.tablecheck.com/ja/shops/busaku/reserve |
支払い | クレジットカード・ 交通系電子マネー可 |
アクセス | 「橋場町」バス停から徒歩約5分 |
駐車場 | なし 近隣にコインパーキングあり |
オープン | 2022年7月 |
公式Instagram | https://www.instagram.com/kannonmachi_busaku_/ |
「武作」へのアクセス
ひがし茶屋街へ車でのアクセス
昼間は観光客さんでとても賑わうひがし茶屋街も、夜は閉店するお店が多くひっそりと金沢らしい風情を漂わせています。
雨に濡れた石畳に、町家が並ぶ通りにともる灯り、と昼間とは表情を変える夜のひがし茶屋街。
狭い通りの茶屋街の中には駐車場は無いので少し歩きますが、同じく昼間とは違いひっそりとしていて停めやすく、バス通りの「ひがし茶屋街」信号と「東山」信号の間にいくつかある24H営業のコインパーキングは、18:00~9:00は60分110円と格安でおすすめ。
「武作」はひがし茶屋街の広場からすぐ
ひがし茶屋街の中心にある広場から、老舗洋食屋さん「自由軒」の角を曲がったところにある武作ですが、看板などないので通り過ぎてしまうでしょう。
隠れ家感のあるこの縄のれんだけが目印です。渋いです。
武作の夜のお料理をいただきます
落ち着いた店内は和そのものなんだけど
100%和の雰囲気の落ち着いた店内にワクワクでおじゃまします。
和の設えが良い雰囲気の8席ほどのカウンター席。
2階にもお席がありそうです。
外から見ても店内も、佇まいが和の空間なので「武作は和食」と思い込んでいましたが、メニューを見るとフレンチのよう。
東京で20年フレンチの道にいらっしゃった大将が地元金沢の食文化を大切にしながらフレンチの手法で作り出す一皿一皿。
piyonは勝手にフレンチ懐石と呼んでいます。
石川県の日本酒中心です。
カウンターのテーブルがびっくりの畳で、カウンターの底面がヒーターになっています。
言われて気付く程よい暖かさですが、足元は冷えたとおじぃ三平。
縄のれんとは反対側にも出入り口があります。
まずは一献「福をおとりください」と福の桝で「石川の地酒 おんな川」あるいはノンアルコールの甘酒をいただきます。
北海道産雲丹のスクランブル
・甲の器(きのえ) 北海道産雲丹のスクランブル、甲殻類の濃縮ソース
雲丹と半熟のたまごの黄身が甲殻類からとったソースと絡み合い、ねっとりと濃厚な美味しさです。
お料理は見た目も重要 甘えびカクテル
乙の器(きのと) 石川県産甘えびと加賀蓮根、キャビアのカクテル
甘えびとキャビアの他にアオリイカ、車鯛、と次々に口の中に飛び込んでくる幸せを噛みしめるカクテル。
能登の食用花が彩るカクテルは、見た目だけでも食欲中枢が刺激され、口に入れると更なるハッピーチャージで満たされます。
北海道産白子は金時草のソースで
丙の器(ひのえ) 金時草と北海道産白子 湯涌柚子ポン酢と唐墨春菊と金時草のソース
低温でじっくりと火入れされた鱈の白子は今が旬、ふわっふわ。
ソースは一つとしてシンプルなわかりやすいものはなくて、食材に向き合う大将の熱い姿勢が伝わるお料理が続きます。
絶品合鴨
丁の器(ひのと) 鹿児島新牛蒡と合鴨 生胡椒の佃煮ソース
まだ緑色の若い胡椒を佃煮にしたソースに新牛蒡のすり流しとの合鴨の絶妙なコラボ。
絶品でした♡
スゴイな大将。
北海道産帆立貝柱と新潟山菜のフリット
戊の器(つちのえ)北海道産帆立貝柱と新潟山菜のフリット
これもかなりおいしい一皿でしたが、前の合鴨に心が躍らされた勢いで撮り忘れ、写真がないと記憶のページをたどれない哀しいプレシニアpiyonです。
帆立貝柱の美味しさは言うまでもなく、こごみと蕾菜が一足早い春の香りを新潟から連れて来てくれました。
万願寺を炒って作ったパウダーとか海老塩とか、相当な手間をかけていらっしゃいます。
アンコウのスープ
己の器(つちのと) 輪島 鮟鱇とサフラン風味の魚介スープ
水牛のスプーンが添えられています。
塩をして1日寝かせ水分を抜いた鮟鱇のスープはかなり濃厚でした。
超高級魚 白甘鯛の松笠焼き
庚の器(かのえ) 石川県産白甘鯛の松笠焼き 能登ギバサのクリームソース
白甘鯛はほろほろと甘く、ギバサのクリームソースがまたたまらない美味しさです。
前回こちらで白甘鯛を初めていただき、「石川県では捕れない超が付く高級魚を平然と食べたんか!この無知なおばはんらめがぁ~!」
と三平の怒りを大いに買いましたが、大将によると最近では石川県でもたまに揚がるんだとか。
温暖化により海水温が上昇して生態系にさまざまな変化が起きているんですね。
能登で採れた海藻ギバサは今が旬のやわらかい新芽。
こんなんです、とわざわざ見せてくださいました。
後日「生まれも育ちも石川県民」に聞くと、ギバサは石川県ではポピュラーな食材だそうです。
ギバサは、正式名称アカモク。
ノンカロリーなのに栄養価が高い海藻。
食物繊維の一種フコダインや、ミネラル、鉄分などを含み、肝機能の向上にも効果がある。
ギバサ、積極的に摂取したいですね。
絶品!和牛頬肉の煮込み
辛の器(かのと) 和牛頬肉の煮込み ビーツの香るポルト酒のソース
ホロホロに煮込んだ頬肉は奥歯不要の柔らかさ、フレンチらしい濃厚な旨味とコクを味わえる一品でした。絶品。
炊き込みご飯は鰆と丹波黒豆
壬の器(みずのえ) 京都丹波黒豆と鰆の炊き込みご飯 おちょこ出し汁
炊き上がった土鍋のごはんは、鰆に丹波の黒豆。
お米は蛍米(ほたるまい)という石川県小松市産のコシヒカリだそうです。
品よくよそっていただいてpiyonは「ふつう」1膳、三平はもう1膳お代わりをして、残りは大きなおむすびを2つ握ってくださいました。
ほっくほくな丹波の黒豆がさすがの存在感で、お味付けは上品な薄味。
お出汁をおちょこで飲んだりごはんにかけたりと味変を楽しめますが、ごはんとは逆にお出汁は濃いめ、関西舌のpiyonたちにはごはんにもう少し塩味があってお出汁が薄味の方がいいね、と思いながらも最後まで本当に美味しくいただきました。
さっぱりデザートは柑橘系と苺のジュレ
癸の器(みずのと) 阿波すずかといちご カシスと柑橘のジュレ掛け
加賀棒茶とともにいただきます。
柚子とすだちをかけあわせたという「阿波すずか」を使ったデザートは、〆にふさわしく酸味があってさっぱりとしますが、ややぼやけた印象でした。
お酒を楽しまれた方にはいいのだと思います。
洗練された和の空間で、大将の想いのこもった一皿一皿をいただく幸せ。
ごちそうさまでした。
ランチに続き、夜の武作も大満足でした。
「武作」まとめます
美味しくて美しいお料理と同様に好感が持てる謙虚な大将のお人柄、和の空間と器、と五感を満たしてくれる武作さんは、今はおひとりでやっていらっしゃいますが、開店後半年が経ち予約もずいぶんと入るようになりそろそろ限界、とおっしゃっていたので、ますます目が離せない存在になることでしょう。
閉店後の仕込みに相当な時間をかけていらっしゃるとわかる手の込んだ美味しいお料理の数々に、大将との楽しい会話(というかpiyonが質問攻めにしているだけ)。
予約の電話では「楽しみにお待ちしております」、当日15分遅れると伝えた際は「気になさらずに気を付けてお越しください」とやさしいお言葉。
時を経ずして訪れたお店と比較して、お料理はもちろんのこと、伝わるホスピタリティがないと意味がないという思いを強くした本当に居心地のいい武作さんでした。