金沢おいしい旅

【徳山鮓】鮒ずし初体験!滋賀で感動の発酵料理に出逢う

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約9分

滋賀県の琵琶湖の北に位置する小さな湖「余呉湖」
そのほとりにある発酵料理・地産地消のオーベルジュ「徳山鮓」(とくやまずし)への訪問がようやく叶いました。

予約は半年後しか取れない、という世界中から美食家や料理人が訪れるオーベルジュですがTELしたところ3か月後で予約することができ、私たちはランチのみでおじゃましました。
コロナでキャンセルなどもあったようです。

他では絶対味わうことのできないお料理の数々心洗われる里山の風景、そして素朴であたたかいおもてなし。
そのすべてに酔いしれながら贅沢なお食事をいただきました。

2021年4月の訪問です。

「徳山鮓」と小泉武夫さん

発酵学の第一人者・小泉武夫さんが『日本発酵機構余呉研究所』の所長に就任された25年前、京都の料亭での修行を経て、小泉さんの定宿で料理長をされていたのが現在の「徳山鮓」の徳山さん。
その出会いから「徳山鮓」は生まれました。

「徳山鮓」の基本情報

住所〒529-0523
滋賀県長浜市余呉町川並1408
TEL0749-86-4045
営業時間昼(12:00〜14:30)
夜(18:00〜21:00)
定休日不定休
駐車場停めやすいです
お支払いクレジットカード可
予約電話のみの完全予約制
受付10:00〜11:30
  15:00〜17:00
お料理お昼のおまかせコース
10,000円~(税別)
公式サイトhttps://tokuyamazushi.com/

「徳山鮓」へのアクセス

福井県敦賀から北陸道は使わずに下道で行きましたが意外と近く、高速を使うのとほとんど変わらない時間で行けるようです。

途中赤信号が驚くほど長い「柳ケ瀬トンネル」を通ります。
明治時代に作られた内径の小さいこの「柳ケ瀬トンネル」は1㎞を超える長さがありながら片側交互通行のため赤信号は6分30秒も続きます。
かなり圧迫感のある狭いトンネルです。

このトンネルそばに「賤ケ岳の戦い」で柴田勝家が本陣とし、全体として完成度の高い山城だと言われる玄蕃尾城(げんばおじょう)跡へ至る登山口がありました。
ちょうど福井県敦賀市と滋賀県長浜市の県境のあたりです。

4月上旬、金沢の桜は終わりかけてたものの、途中の余呉町周辺は満開。
あいにくの曇り空でしたが。

山野草? あまりのかわいい姿にしばし立ち尽くします。

敦賀から30分ほど走り「徳山鮓」まであと少し、というところまで来ると気持ちよく余呉湖が広がっています。
静かで穏やか~な余呉湖。平日のため人影はまばら。

「徳山鮓」の店内

里山の民家の間を「へぇ?こんなところにほんまにある?間違ってんのんちゃう?」という思いで進むといきなり現れる「徳山鮓」
もっと「田舎のおうち」ふうを勝手に想像していたのでとってもキレイな外観に驚かされます。
予約した12時までには早く着きましたが、程なくして次々に車が到着です。
でも中高年というよりもご高齢の方もいらっしゃってビックリ。
その理由は後でわかります。
若い人はいません。ホントにいなかった。まぁ平日ですし。

ここだけ少し違う空気が流れているかのように美しく整えられた入口周辺を見ただけで、テンション上がります。
古い大きな民家に手を入れるとこんなにキレイに蘇るんですね。
おじゃましまーす。

伝統的な日本家屋をリノベーションされたんであろう和モダンな玄関で鹿がドドーんとお出迎え。
かなり立派な鹿だわぁ。しかも美しいお顔。

通された部屋に入ると大きく取られた窓の向こうに広がる余呉湖が一枚の絵のようです。
思わず感嘆の声があがります。
コロナで席数を絞っているのでしょう、10席設けられたテーブルには私たちの他にはお1人さまだけでした。
落ち着きのあるイイ感じのお部屋です。
この他に畳に椅子席のあるお部屋など3つぐらいありそうで、そのうちの1部屋は余呉湖ではなくお庭に面している側でした。
やっぱりここは余呉湖を眺めながらのお食事が絶対いいなぁ、と思うほど眺めが素晴らしいです。

冬は雪深い余呉町ならではの薪ストーブ。
熊鍋やジビエを求めて寒い冬に訪れるお客さんも多そうです。
「徳山鮓」がある滋賀県長浜市は近畿以西で唯一、国の「特別豪雪地帯」に指定されていて、滋賀県最北の集落である長浜市余呉町中河内は、1980~81年の「56豪雪」で約6メートル以上の雪が積もり、一ヶ月以上孤立したそうです。
雪のない大阪や名古屋方面からクルマで来られる方も、最も人気がある冬の「徳山鮓」は冬タイヤ必須ですね。

窓の外には余呉湖を望むテラス。
鮎の季節などにはこちらで焼いたお魚をいただくのでしょうか。
オーベルジュだから季節が良ければ朝食後の珈琲とか気持ちいいだろうなぁ。
ここ余呉湖は夏も日中は暑くても朝晩は涼しい風が流れて比較的快適に過ごせるそうです。

わくわくの発酵料理の始まりです

ジビエの前菜

ウドの天ぷら
鹿・熊・猪のテリーヌ
じゃがいも・茗荷・かぼちゃなど季節の野菜

わーい!ジビエだ!テリーヌの横にあるのは「サンシャインソース」って聞こえました。
ん?サンシャインソースって何だろう???
お店を出てから判明しました。
どうやら「山椒のソース」と聞き間違えたもよう。
「サンシャインソースって何ですか?」って危うく聞くところだった。あぶないあぶない。
書かれたメニューはないので聞きとるのも大変。

テリーヌはうまく言えないけど濃厚でありながらさっぱりとしていて(矛盾してるけど)クセがない。
噛むほどに豊かな味わいが広がります。
野菜も甘い。地産地消ですね。
都会を離れて暮らしてみて思うのが野菜の美味しさ。
都会のスーパーで野菜は買えない身体になりました。

ビワマス

続いて
ビワマス 鯉のたまご わさび

琵琶湖にのみ生息する固有種であるビワマスは脂が乗ってしっとりです。
川で育ったニジマスサクラマスのキリっとした味わいとは異なる、と三平。
piyonにはよくわかりませんけど。

鹿肉と飯(いい)

鹿肉の胡麻和え 鮒ずしのまわりのご飯「飯(いい)」

とにかく美味しいです。
鮒鮓を作る際、一緒に漬け込むご飯も発酵しますがこれを「飯(いい)」というのだそうです。
ヨーグルトやクリームチーズのようにさっぱり爽やか。
なんのクセもありません。不思議、不思議。

鴨肉

鴨肉と野菜たち。山の恵みに心から感謝です。
どれも味が濃いのです。
燻製だったかしら。
もうホントにすべてのお料理に素材の種類が多くてpiyonのこり固まった脳内許容量はパンク状態。

鴨はもちろんのこと、なんだったのか忘れてしまったお魚の皮も美味しい。

熊肉のお鍋

次に熊肉鍋の準備が始まります。
このカセットコンロは精度の高い微調整が可能で火がとても安定しているのでどこのものかと覗いて見たらイワタニでした。
イワタニのアモルフォプレミアム
検索するとお値段もプレミアム。でもこれ欲しい♡

たっぷりの水菜とセリとねぎ。
セリも野生の香りがしました。
「徳山鮓」で何度自然の恵みに感謝したことでしょう。

すっぽんちゃんがアモルフォプレミアムの上にセットされました。
お鍋の中身のお出汁はお味噌のような色をしていたけど教えていただけませんでした。
これも発酵スープですね。きっと。

ドドーンと熊肉登場。きれいな色!
器は余呉湖の形をしていて「この辺りが徳山鮓です」と最近お店に入ったというまだ若い次男クンが器の一か所を指差して教えてくれます。

一杯目は次男クンが作ってくださいます。
非常に薄くスライスされた熊肉をささっと、野菜もささっとしゃぶしゃぶしていただきまーす。

肉の脂が苦手な三平もこれは全然大丈夫。
piyonもこんなに食べられるか心配したけど、あっさりとしてスルスルいただけます。
上品な甘みと、とろける口溶けで、たっぷりのネギたちといくらでも食べられそう。
そしてまたこのお出汁。熊肉のスープが溶け出て滋味深いコクを感じてずるずる飲み干したくなりますが、このあとの雑炊に使うとのことであえなく断念。

人生初の鮒ずし

ついに鮒ずし登場。
piyonは初めてなので恐る恐る口にします。本当に恐る恐るです。
滋賀県外の人間には悪名高い(滋賀県民さんごめんなさいですが、県民食ってそんなもんですよね。例えば金沢の〇番らーめんとか。鮒ずしと一緒にすると怒られますね。)鮒ずしを口にする日がくるとは!

鮒ずし

ん? クセがないし臭くない

あらま!美味しいです

こちらは鮒ずしの尻尾と頭を刻んだものをはさんだサンドイッチ
ハチミツがかかっています。
ここでトーストサンドが出てくるなんて楽しい♡

奥は鯖の熟れずし トマトソース 岡山・吉田牧場のカチョガバーロ(美味しいお店で必ずと言っていいほど登場する吉田牧場)
発酵食品の旨味と、酸味のあるソース。計算された相性の良さ。

古代小麦の麺を熊のスープで

香の物に続いて、再び先ほどのすっぽん型お鍋が登場。雑炊かと思いきや

ふたを開けると雑炊ではなく古代小麦の麺でした。熊のスープをたっぷり吸いこんだ麺はめちゃくちゃ美味しかった♡旨味たっぷりです。

古代小麦の麺は熊肉のスープで煮込んでも、ちゃんとしっかりコシがあり、スープが美味しくて美味しくてもっといただきたいぐらいでした。
どこまでも果てしない旨味ですね~

デザートも発酵食アイスクリーム

最後は飯(いい)から生まれたアイスクリーム
製法は特許を取得済みだそうです。もちろんさっぱり美味しいです。

お料理の終盤、店主の徳山さんがご挨拶に来てくださいました。
もっと厳しい面持ちの頑固おやじさんを想像していましたが笑顔の素敵な腰の低い方でした。
金沢から来たことをお伝えすると「おっ!金沢」という反応をされました。
お料理屋さんやお料理自慢の宿ではよくあることです。
美味しいものやお店が金沢にはたくさんあることを料理人のみなさんよくご存じで嬉しくなります。

ごちそうさまでした。
非常に気さくで元気の良い女将さんに驚きながらお店をあとにしました。

「徳山鮓」まとめます

滋賀県の北端にある「余呉湖」にまで来ないと味わえない、湖と山々の恵みを存分に生かしたお料理の数々を堪能しました。
何カ月も前から予約をして、遠くからわざわざ行く価値のあるお店です。
店主自ら山に分け入り、ジビエや山菜など旬の地の物が並び『ここでしか味わえない』お料理を自然豊かな癒しの場所で味わう、という意味に限ると京都の「美山荘」と同様の感動がありました。
発酵食のお料理は本当にあっさりとするするいただけます。
お店を後にする時も満腹感はそれほどなかったのですが、夜になってもお腹があまり空かなかったのは驚きでした。
若い時には感じることのなかった「コースの終盤はお腹いっぱい ちょっと胃がもたれる」。これが全くなく本当に最後まで美味しくいただける発酵食。

別のお部屋のお客さんたちはほぼ全員が中高年の常連さんという感じ。
食品の旨味を引き出し、栄養価をUPさせ、腸内環境を整えたり、生活習慣病予防や美肌・アンチエイジングに効果があるなど優れたパワーを持つ発酵食
特に高齢のリピーターのお客さんが多いのも納得です。
店主ご自身で山に入り、漁をして食材と向き合い、発酵文化というこの地の伝統を守りながら今も日々研鑽を重ねていらっしゃるんだろうな、とうかがえる唯一無二のお料理が「徳山鮓」にはありました。

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