金沢城公園の鼠多門(ねずみたもん)橋が2020年に復元されたことによりスムーズになった、尾山神社から金沢城公園へ、さらにその先の21世紀美術館へと続く金沢観光回遊ルートをご紹介します。
ステンドグラスのある神社!尾山神社をスタート
尾山神社の基本情報
尾山神社は近江町市場のある「武蔵ケ辻」から「香林坊」までの間に位置し周辺にお泊りの観光客さんも立ち寄りやすく、長町武家屋敷跡から金沢城公園・兼六園そして21世紀美術館までを結ぶルートの途中にあり、金沢市民にも親しまれている神社です。
住所 | 〒920-0918 石川県金沢市尾山町11−1 |
TEL | 076-231-7210 |
アクセス | ▶金沢駅より車で5分 徒歩20分 ▶城下まち金沢周遊バス・北陸鉄道路線バス・まちバス 「南町・尾山神社」バス停から徒歩約3分 ▶金沢ふらっとバス材木ルート「商工会議所」バス停から徒歩約2分 |
駐車場 | 台数は限られていますが無料駐車場あり |
御朱印受付時間 | 8:30~18:00 |
お祓い時間 | 9:30~15:30 |
定休日 | 年中無休 |
HP | http://www.oyama-jinja.or.jp/ |
尾山神社の歴史と見どころ
加賀藩祖・前田利家公と正室お松の方を祀る由緒ある尾山神社。全国的にも珍しい和漢洋の3つの建築様式が用いられた「神門」は金沢市の代表的な観光スポットとして有名です。国の重要文化財にも指定されており、特に、最上階にはめ込まれたギヤマンは美しく、訪れた人を魅了します。また、日本現存最古の避雷針が施されています。
金沢市観光公式サイト「金沢旅物語」より引用
市内中心部にあるため金沢一の初詣の参拝客数を誇ります。
見どころは何と言っても最上階のステンドグラスがロマンチックな「神門」。
明かりが灯る夜の神門はライトアップもされ、幻想的な雰囲気につつまれ特におすすめです。
近江町市場からも歩いて10分かかりません。
利家公が主祭神だったため「必勝祈願」「文武両道」の神社として知られていましたが、お松の方と合祀されてからは「夫婦円満」「良縁祈願」のご利益にあやかろうと多くの参拝客が訪れます。
前田家の家紋「梅鉢紋」があしらわれた神門は、石造りのアーチ型門の中に
さらに木造の門があるという珍しい貴重な構造。
足元の丸い石は、明治の神門の建築にともない兼六園から移されたもので、美しい円を描く石のあるこの場所はパワースポットかもしれません。
徳川幕府に遠慮して江戸時代には前田利家公を祀る神社を建てることができなかったため、尾山神社は明治時代初期に建てられました。
神門をくぐってから振り返って見ても美しいステンドグラス
2015年(平成27年)に完成した授与所は、当初「えっガラス張り!?」とギョっとしましたが見慣れた今はコロナ禍で残念ながら閉鎖中です。早く再開されますように。
隠居した藩主や側室などが住居としていた「金谷御殿(かなやごてん)」跡に建てられた尾山神社は、その庭園(神苑)も金谷御殿時代のもの。
雅楽の楽器を模した島や橋があるため楽器の庭と呼ばれ、アーチ型の石橋など独特な雰囲気を漂わせるお庭です。
それほど広くはない尾山神社と庭園ですが、街中にあるとは思えない静けさを持ち金沢文化を感じられる場所のひとつです。
尾山神社の奥にある、金沢城につながるこの橋「鼠多門橋」(ねずみたもんばし)を渡る前に、ぜひ横にある古い石段を降りてみてください
有形文化財「東神門」は金沢城二の丸御殿の裏門でしたが、明治に別の場所に移築された後、昭和の時代にこの場所に移され尾山神社の裏門となりました。
この門が、金沢城の大半が焼失した1759年(宝暦9年)の大火や度重なる火災でも一度も焼けなかったのは、彫刻された2頭の龍が水を呼び類焼を免れたからだと言い伝えられています。
これからもお城と神社を守ってください。
尾山神社から金沢城へ行かずに21世紀美術館へ行かれる方は、「東神門」の石段を下りるとこの場所に出ますので、写真奥へ進んでください。お城の石垣を見ながら歩いて5分ぐらいで21世紀美術館に到着です。
鼠多門から鼠多門橋を渡って金沢城公園へ
鼠多門の基本情報
住所 | 金沢市丸の内1-1 |
TEL | 076-234-3800 (石川県金沢城・兼六園管理事務所) |
時間 | 9:00~16:30 (最終入館は16:00) |
休日 | 無休 |
料金 | 無料 |
夜間ライトアップ | 日没から21時まで |
復元された鼠多門
尾山神社からは、もともとお堀だった道路にかかる鼠多門(ねずみたもん)橋を渡り、鼠多門口から金沢城公園へとすんなり行くことができます。
黒い海鼠(なまこ)漆喰が特徴の鼠多門は2020年、橋とともに復元されました。
ちょっと美しすぎる感がないこともないけれど、この橋の完成により、金沢城公園を通り抜ける金沢観光回遊ルートがスムーズになりました。
張り付けた瓦の目地を漆喰で盛り上げ、海鼠の形に塗る「海鼠壁」
右上に顔を出しているのが、現存する数少ない藩政期の遺構「三十間長屋」
車椅子の方も安心です
ネジや釘を一切使用しない伝統工法の技を間近で見られる鼠多門の櫓(やぐら)は無料で見学できます
再現された「玉泉院丸庭園」の見どころは石垣
鼠多門を入ると広がるのは、加賀藩代々の藩主たちが愛でたであろう庭園を、2015年(平成27年)に再現した「玉泉院丸庭園(ぎょくせんいんまるていえん)」です。
玉泉院丸庭園は、加賀藩三代藩主「前田利常」による寛永11年(1634)の作庭を始まりとし、その後五代「綱紀」や十三代「斉泰」などの歴代の藩主により手を加えられながら、廃藩時まで金沢城内玉泉院丸に存在していた庭園です。饗応の場として活用された「兼六園」に比べ、藩主の内庭としての性格が強い庭園だったと考えられています。庭園は、城内に引かれた辰巳用水を水源とする池泉回遊式の大名庭園で、池底からの周囲の石垣最上段までの高低差が22mもある立体的な造形でした。滝と一体となった色紙短冊積石垣などの、意匠性の高い石垣群を庭の構成要素とする、他に類を見ない独創的な庭園であったと考えられています。
石川県「ほっと石川」より引用
城郭石垣の技術と庭園としての意匠とが見事に融合し、金沢城ならではの傑作とされている 色紙短冊積石垣(しきしたんざくづみいしがき) 。
見せる石垣なんですね。
日没から21:00までライトアップされる夜間開園日には、昼間とは違う幻想的な世界が広がります。
●金沢城公園の夜間開園●
金沢城公園では夜間開園される日があります。
ライトアップにより、昼間とは別の顔を見せる石垣や建物、庭園、城郭はおすすめです!
<夜間開園日>公式サイトの夜間開園カレンダーでご確認ください→こちらから
<時間>日没から21:00まで
<入園口>石川門口、鼠多門口、玉泉院丸口
<料金>無料
☆外周の石垣や石川門などのライトアップは、毎日、日没から22:00まで行われています
●ライトアップ施設●
外周の石垣、石川門、鶴丸倉庫、
菱櫓・五十間長屋、
橋爪門続櫓、河北門、鼠多門、鼠多門橋
金沢城は「石垣の博物館」とも言われ、多種多様な当時の石垣が現存し今もその様式を学ぶことが出来ます。
石垣づくりの秘伝書など歴史的資料が残っていることからも金沢城は「石垣の博物館」と呼ばれています
金沢城 石川門の石垣写真はこちらの過去記事からどうぞ→【金沢観光】金沢城公園・兼六園 おさんぽルートとおすすめの見どころ
庭園を一望する休憩所「玉泉庵」
北陸新幹線開通に合わせ2015年(平成27年)再現された「玉泉院丸庭園」(ぎょくせんいんまるていえん)とともに完成した休憩所「玉泉庵」から見るお庭は素晴らしいですが、庭園を囲むように設置されている散策路から見ると現代の建築物が眼に入り、「しょうがないけどこれってどーなんざんしょ」感がありちょっと残念。
休憩所「玉泉庵」とは別に、案内所をはさんで無料休憩所もあり、ゆっくり眺めたい玉泉院丸庭園。
「玉泉庵」のお休みは12/29~1/3
●金沢城公園のおすすめ休憩所&カフェ●
お城ビューが素晴らしい「鶴の丸休憩館」と「豆皿茶屋」についてはこちらの記事をご覧ください→兼六園・金沢城公園 【金沢観光】おさんぽルートとおすすめの見どころ
玉泉庵前のトイレ
鼠多門そば「玉泉庵」向かいにあるトイレは新しく、もちろんオムツ交換台や、独立した多目的トイレ、自販機もあるのでおすすめです。
金沢城公園内には10ヶ所ほどきれいに管理されたトイレがあって安心です。
九谷五彩のタイルで彩られた壁がかわいいんです
加賀五彩(臙脂⦅えんじ⦆、藍、黄土、草、古代紫)ではなく、九谷五彩(赤、黄、緑、紫、紺青)というのもあるんですね。
「旧第六旅団司令部 」と「土門橋石垣」「数寄屋敷石垣」
玉泉院丸庭園をぐるっと周るように見ながら木の階段を上っていくと、三十間長屋や五十間長屋のある三の丸広場に出ますが、その前に
左手に分かれる階段を上ると
あら、こんなところに洋館が!という感じで、旧陸軍の施設「旧第六旅団司令部」だった洋風建築が姿を現します。
さらにこの場所に側室の住居「数寄屋敷」があった藩政時代の「切手門」だけがひっそりと残っています。
「切手門」を通ってさらに行くと
土橋門石垣があり、水に親しむ亀を表し防火の願いが込められている、という六角形の石(亀甲石)を見ることができます。
ここから「金沢城・兼六園管理事務所」の前を通って直進すると、「菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓」の前に出て「石川門」への近道になりますが、今回は切手門をもと来た方向にもどります。
旧第六旅団司令部のそばにある「数寄屋敷石垣」も金沢城の石垣の博物館たる所以を語っています。
金沢城の石垣には200種類以上の刻印があるとされていますが、特にここ 「数寄屋敷石垣」 では多くの刻印を見ることが出来るのです。
諸説あるものの、石を切り出す際の役割分担のための刻印、というのが有力な説のようです。
木の階段をもどり二の丸広場の方へまた階段を上ります。
階段を上ると広がるここは、かつて金沢城二の丸に存在した二の丸御殿跡である二の丸広場。
200年以上にわたり火災による焼失と再建により姿を変えながら、藩主の住まいや政務の場として金沢城の中枢を占めた御殿は、1881年(明治14年)の火災により失われました。
現在、二の丸御殿復元に向けて調査と取り組みが進んでいます。
五十間長屋を後ろ側(石川門とは反対側)から見ていますが、五十間長屋の内部見学の入り口はこちら側にあります。
二の丸広場から極楽橋(ごくらくばし)の向こうに三十間長屋が見えています。
いいですね名前が「極楽橋」。
築城以前のこの場所が、本願寺が建てた金沢御堂だった頃、参拝する人は朝に念仏を唱えながらこの橋を渡り、日本海に沈む夕日を拝みながら極楽往生を祈って帰ったことから名付けられたそうです。
いつの時代も究極の祈りは不変。
三十間長屋から五十間長屋や石川門へも歩いて10分もかからずに行けますが、今回は玉泉院丸口から金沢城公園を出るルートのご紹介です。
石川門や菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓、三十間長屋については、石川門から兼六園へのルートを紹介しているこちらの記事をご覧ください→兼六園・金沢城公園 【金沢観光】おさんぽルートとおすすめの見どころ
尾山神社から金沢城公園へ行くと、さらに石川門を通って兼六園を周り21世紀美術館へというルートが一般的ですが、今回は金沢城公園の玉泉院丸口から21世紀美術館へのルートをご紹介します。
21世紀美術館へは金沢城公園 玉泉院丸口からが近い
玉泉院丸口から金沢城公園を出て、21世紀美術館へ向かう場合のルートのご紹介です。
玉泉院丸口を出て、奥に見える白い建物「しいのき迎賓館」を目指して歩くとその向こう側に21世紀美術館があります。
21世紀美術館から一番近い金沢城公園の出入り口がここ玉泉院丸口
玉泉院丸口から「しいのき迎賓館」を右手に見ながら、歩道を写真右手方向に歩くと
明治の時代に旧陸軍により一部取り壊されて今の形になった「本丸南面の高石垣」や
いもり堀に続く「鯉喉櫓台(リこうやぐらだい)石垣」を見ることができます。
「いもり堀」は、金沢城の南西側を囲む外堀でしたが、旧陸軍により埋め立てなどが行われ、陸軍用地の後、戦後はなんとテニスコートになっていたとか。
なんちゅうことを!
2010年(平成22年)復元されました。良かった良かった。
「鯉喉櫓台石垣」 まで来たら「広坂交差点」に面している21世紀美術館も兼六園の真弓坂口もすぐ目の前です。
「しいのき迎賓館」はレトロと現代建築が背中合わせ
しいのき迎賓館
「鯉喉櫓台石垣」 と21世紀美術館の間にあるのが、旧石川県庁をリノベーションした「しいのき迎賓館」。
しいのきが存在感を放つ正面は大正時代建築の格調ある意匠そのままで、お城に面した側はガラス張りの空間に姿を変え、レトロと現代建築の二つの顔を背中合わせに持つ個性的な建物で、グッドデザイン賞を受賞しています。
名前の由来にもなっている正面の一対の樹齢300年「しいのき」の存在感も素晴らしい「しいのき迎賓館」には総合観光案内所や、レストラン・カフェ「ポール・ボキューズ」などがあります。
しいのき迎賓館の駐車場
所在地 | 〒920-0962 金沢市広坂2丁目1-1 |
TEL | しいのき迎賓館事務室 076-261-1111 |
入出場できる時間 | 8:30~23:00 |
料金 | 迎賓館利用者は30分無料 利用しない場合は350円/30分 30分を超える場合は 30分までごとに150円 23時を超え翌日8:30迄の間1,000円 (この間入出庫不可) |
公式サイト | https://www.shiinoki-geihinkan.jp/about/access.html#1 |
また、しいのき迎賓館からアメリカ楓通りを渡ると、赤レンガが美しい明治モダン建築の「石川四高記念館」があり、ここには明治の風が流れています。
まるでここで学ぶ明治時代の四高生の声が聞こえてきそうな、躍動感のある四高記念碑の学生たちの像と赤レンガの建物が、知らなくても明治を感じさせるのです。
レトロな内部も必見です。
まとめます
尾山神社をスタートして、鼠多門から金沢城公園に入り玉泉院丸口から出て、しいのき迎賓館まで歩き、今回紹介したルートで2時間ほどかかりました。
観光スポットが街の中心部に集中しているので、いろんなルートで好きなところを歩いて周ることができる優れた観光地金沢。
この記事が、加賀百万石の歴史を感じながら金沢のまち歩きを楽しんでいただく際のお役に立てば嬉しいです。