金沢おいしい旅

【小松弥助】伝説の大将が握るお寿司は金沢の誇り

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約10分

【追記:2023年4月14日】「森田大将お元気です」を追記しました。
【追記:2023年2月14日】「小松弥助の現在」を追記しました

言わずと知れた金沢が誇る寿司屋の名店「小松弥助」
90歳を超える大将が握るお寿司とそのお人柄に魅了された人たちが全国から訪れ、予約をするのも簡単ではありません。
数年ぶりの訪店、大将はご健在でしょうか。

2022年8月の訪問記です。

小松弥助の基本情報

所在地〒920-0853
石川県金沢市本町2丁目17-21
TEL076-231-1001
営業時間①11:30~ ②13:00~
定休日水・木
支払いクレジットカード利用可
電子マネー不可
アクセス金沢駅より徒歩3分
駐車場「金沢茶屋」さんの駐車場利用可

小松弥助のアクセス

小松弥助へ歩いてアクセス

小松弥助は、金沢駅東口(兼六園口)前で唯一の高層ビル「ホテル日航金沢」の裏通りをはさんだ場所に位置します。
駅前から信号を渡り「ホテル日航金沢」が入る複合ビル「ポルテ金沢」を通り裏手の出入り口を出ると目の前に現れる小松弥助

雨の日は金沢駅東口を出てすぐのエスカレーターを降りて地下を直進、突き当りを右方向へ、で「ポルテ金沢」の地下に濡れずにアクセスできます。

右側のベージュのビルの1階が小松弥助です。

ビルに向かって右側のアプローチを奥にぐるっと進むと小松弥助の入り口があります。

このビルは、和倉温泉の旅館「加賀屋」グループである「料理旅館 金沢茶屋」の別館にあたり、金沢茶屋の入り口から入って中庭を通ってお店に行くこともでき、早く到着してしまったら金沢茶屋のロビーで待たせてもいただけます。

小松弥助へ車でアクセス 駐車場はある?

金沢茶屋さんの駐車場の利用が可能で、金沢茶屋さんの入り口で車を停め「小松弥助の予約してまーす」と言うとスタッフさんが車の移動をしてくださいます。
さすが加賀屋、バレーパーキング!

小松弥助という寿司屋

大将の森田さん

お疲れのところ申し訳ありません

大将の森田一夫さんは、御年91歳(2022年8月現在)。

店名の通り、石川県小松市で開業されていましたが、piyonが最初に小松弥助を訪れてお寿司の概念が変わるという衝撃を受けた10数年前は、初めて訪れる誰もが意外に思う「アパホテル金沢片町」の1階にお店を構えていらっしゃいました。
アパホテル時代は、今と比べると予約の電話もつながりやすかったけど、それでもやっぱり芸能人の方を見かけたり東京などからのお客さんグループが必ずカウンターにはいらっしゃる、という全国に名を轟かせる存在でした。

2015年にいったんお店を閉じられ、その去就が気になりいろんな噂が飛び交っていましたが、2017年金沢駅前の地で復活を遂げ、その新装なった店内は大将にふさわしいステージで客としても嬉しくなったものです。

①11:30~ ②13:00~ ③14:30~
と昼間の3回転の営業を続けて来られましたが、2022年8月の訪問時は①と②の2回転になっていました。
お元気に握っていらっしゃるものの、長時間板場に立ち続けるご苦労は如何ばかりかと心配になります。
客としてはありがたい限りですが。

小松弥助の予約方法

常連さんの紹介がないとダメだとか、予約はお店に並ばなければいけなくなったとか、大将が握らない日もあるとか耳にしたり、コロナ禍でもあり、しばらく訪れる機会がありませんでしたが、偶然元気な大将のお姿を街でお見かけしたので突然「小松弥助行くぞ熱」が再燃、電話予約を試みました。
2022年8月現在、

予約は電話でのみ受け付け(すぐに繋がるとは言えませんが)

となっています。
たまたまかもしれないし、コロナ禍ということもあるのか、タイミングが良かったのか、2か月先である今回の予約が取れましたが、3か月先までカウンターは満席でテーブル席しか空いていませんでした。
最も確実な予約方法は、小松弥助に食べに訪れた際、次の予約を入れて帰る、というもので、多くのお客さんが次の予約も入れて帰るので、そりゃ予約は至難の業になりますわね。
でもそれほど魅惑の体験ができる小松弥助なのです。

小松弥助でいただきます

小松弥助の店内

今回は2回転目の13:00の予約です。
2回転目以降はずれこむスタート、というのが暗黙の了解ですが、この日は数分遅れぐらいで1回転目のお客さんが全員お店を出たのち「どうぞ」とお声がかかり、定刻前から暖簾前の待ち合いで期待でワクワクの一種独特な雰囲気の客たちが店内へ。
キャリーケースを持つお客さんもいて、受付で預かってました。

お店に入るや大将のお元気なお姿を見つけホッとします。

店内はカウンター10席と、2人テーブル席が2つと、4人テーブル席が1つ、という構成。
今回は残念ながら目の前で握っていただく醍醐味はないけれど、目の前の大将や若き職人さんたちのお顔をじろじろ凝視はできないカウンター席と違い、外野的な視線で、お弟子さんたちとの流れるような連係プレーを含めて森田ショーを眺めることができて、それはそれで興味深いものでした。
軽やかに舞うように握る大将の元気なお姿は健在でした。

今までは、サンダーバードで今着いたばかり、などと大将とお話されてる高齢の長年の常連さんが一組はいらっしゃったものですが、コロナ禍のせいなのか、小松弥助に来た嬉しさ&大将に会えた嬉しさ&お寿司に感動&お酒も入って賑やかなこの日の店内は30代、40代のお客さん中心。

東のすきやばし次郎、西の小松弥助、と称されるほどの名店なのに、そこにありがちなピーンと張りつめた緊張感とは対極の、店内を包む和やかな雰囲気は、大将のお人柄によるもの。
常連さんと一見さん、分け隔てなくやさしく「美味しいか~」と声をかけてくれ、お店にいるみんなが笑顔なのです。
テーブル席に、気配り目配りをして声をかけてくれる気さくな女将さんの存在も大きいでしょうね。

小松弥助のお寿司

久しぶりの小松弥助のお寿司、いただきます。
九谷のお醤油皿は金継ぎが施してあります。

金継ぎ(きんつぎ)とは
欠けた器を漆で繋ぎ金で仕上げて使い続ける、日本伝統の修復技法。
海外でも注目されKINTSUGIと呼ばれる。
日本のわびさびの文化、美意識を象徴するもの。

バカラにのった定番のまぐろの漬けからスタートです。
いい感じにねっとりして適度に寝かしているのがわかります。
マグロとシャリの間にひっそりと身を隠す細かいトロと、マグロの上に乗ったこのわたとの相乗効果で得も言われぬ美味しさ♡

そして小松弥助を語る上で、忘れてはならないのがシャリです。
選び抜いたお米と、炊き方なんでしょうね。
酢も甘さも主張は控えめ、空気をたっぷり含んでふわ~っと握られたシャリがネタと口の中で最高の状態でとけあい一体となって身体じゅうにしみ渡り、握りとは総合芸術なんだ!と初めて小松弥助を訪れたときの衝撃を思い出します。
それほどの感動です。

<追加の蒸しアワビ>
追加注文の蒸しアワビは、柔らかさの極致を体感できます。
おまかせコースには入っていないので、飲み物と同時に最初に注文しておきました。
アワビのみで引いてるのではないかと思う限りなく上品なお出汁は、あまりの美味しさに最後の一滴まで飲み干してしまうほど。
肝も全くイヤ味、雑味がなく、丁寧な下処理がうかがえる究極の一品です。
小松弥助に来たらこれは絶対外せません。

哀しいテーブル席の定めに涙をのむ「5点同時皿盛り」は、上から時計回りに、赤いか、まぐろ、はまぐり、甘鯛、甘えび。
大将の芸術的な包丁さばきを見れるイカの三枚おろしは、ぜひカウンターで体感してほしい磨き抜かれた大技です。

奥に見える、手で割いた泉州の水ナスで夏らしくさっぱりといただきました。

これがpiyon一番の楽しみ、小松弥助の名物うなきゅう。
香ばしく焼かれた熱々のウナギ、パリっとあぶった海苔とさっぱりキュウリ、ごまもいいお仕事してます。

焦点がバカラにいっちゃってますが、下からシャリ、海苔、加賀の丸芋のとろろ、まぐろの漬け、ウニと重なり、とろろを白山に積もる雪に見立る、これぞ小松弥助スペシャリテ、その名も「白山」。
ぜいたくな一品、と一言で片付けたくはないほどに計算されたバランスで口の中ですべてが溶け合って一体となり「マリアージュ!」と叫びたくなるpiyon。

お吸い物の甘鯛は、脂がのってるけど上品で美味しく、お出汁も最高です。

お吸い物が出たところで「おまかせはここまでとなります」と告げられます。
全然お腹は膨れてないけど、おまかせのみだと驚くほどお安いです。
追加注文をすると、どんどんどーんと価格は上昇しますが、それでもカウンターで食べるときに隣りに座る東京からのお客さんたちは、東京なら2倍、銀座なら3倍だとおっしゃいます。
だから新幹線に乗って来ても安いのよ~、と。

薄いタイプのガリは、甘酢加減がほどよくて上品です。

<追加の穴子>
ふっわふわで柚子の香りと塩でさっぱりと、穴子が苦手な人でもきっと「美味しい」と感じるようなお味で、口の中でほろほろととろけます。

<追加のアワビ>
肉厚なのに筆舌に尽くしがたいほどの柔らかさ。
ツメの甘辛さもいい塩梅です。

<追加のネギトロ>
トロとネギをリズミカルにたたく姿は森田ショーのハイライトだと勝手に思ってましたが、今回たたくのはお弟子さんでした。
そりゃしんどいですよね。
ころんころんとしたトロと新鮮ピンピンなネギがはみ出さんばかりにぎっしりふわっと見事なコラボレーション、これも絶対に外せない一品です。

<追加の甘鯛>
脂がのった甘鯛は今回のお魚で一番好みでした。

<追加のあら>
最後はさっぱり目のあらで。

大将から握りを直接手渡ししていただけない寂しさはつきまとうテーブル席でしたが、年を重ねてもどれだけ名声を得ても、衰えることない情熱をもって握るお寿司は、金沢に美味しいお寿司屋さんは数あれど「やっぱり弥助さん」と唸る美味しさでした。
ごちそうさまでした。

小松弥助のお土産

入店し席に着くと同時にお土産の注文をしておきました。
小松弥助のお土産は、弥次喜多(通称バクダン)というおむすびと、ばらちらしです。
弥次喜多は3時間後に味が馴染み、お店を後にして新幹線が東京駅に着く前にちょうど食べ頃になる、と言われていて信じられないぐらい美味しいおむすびですが、今回は初めてばらちらしを頼みました。
食べ終る頃にお弟子さんが「こんなんです~」と見せに来てくださいます。
うひゃー!ぎょぎょぎょの豪華で美しいばらちらし♡
それはそれは美味しいお味でした。

もう何年も若いお弟子さんたちの顔触れは変わっていません。
女将さん、女性のスタッフさんたちも含めて全員が気持ちの良い接客をしてくださいます。
頑固職人を前に張りつめた空気が満ちて、なんてこととは無縁。
お疲れのところ、撮影にも応じてくださいます。

追記:2023年2月14日 小松弥助の現在

香箱ガニが解禁となる11月と12月は金沢にグルメさん集結

2023年2月現在、3回転で営業されていますが、大将が握られるかどうかは体調次第で確定的ではありません。
大将に握っていただきたいのは誰もが望むところですが、くれぐれもお身体をお大切になさってくださいと願うばかりです。

追記:2023年4月14日 森田大将お元気です


直前の電話予約でカウンターはもちろん無理でしたが、1回転目の本来2名のテーブルに3名ですべり込めました。
みんな数か月先の予約をして帰るのでそりゃキャンセルも出ますわね。
今回は、「鯛のおすまし」が絶品で印象に残ったものの、いつも楽しみな「蒸しアワビ」だけはぬるくて臭み雑味を若干感じてしまう結果となりました。

2023年3月、森田大将は92歳のお誕生日を迎えられました。
92歳現役!本当に素晴らしいし、お元気で握られていることはありがたいことです。
女将さんもお元気で何より。
確実ではありませんが、現在も1回転目と2回転目は大将がいらっしゃることが多いです。

「以前は弟子やと思ってたけど今は仲間と思ってやってる」
「あと5年頑張る」
と大将の嬉しいお言葉を聞くことができました。

小松弥助まとめます

今も3回転で営業されてると思い込んでいましたが、お店を出ると3回転目のお客さんは待っておらず、現在は2回転のみのようです。
2回転されるだけでもスゴいことではありますが。
次回の予約はやはり3カ月先までカウンターは満席で、カニが解禁になってからのテーブル席がかろうじて取れました。

なぜこうも小松弥助が愛されるのか。
優れた技を持って大将が心を込めて握るお寿司はもちろんですが、そのお人柄が訪れる人を幸せな笑顔にし、魅了されるのです。
これほどまでに有名な方なのに、どやっ美味いやろ!というドヤ顔を一切することなく、「どうぞ」と握りをこちらの手にのせくれるときの笑顔は「美味しいかぁ」、多少緊張していた初めてのお客さんの心をやさしく溶かします。

大将の森田さんは日本の宝、金沢の誇り、無理をなさらずに少しずつでもいいから1日でも長くお元気で握っていただきたいと願うばかりです。
ありがとうございました。

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