能登半島の北部 奥能登の地、石川県輪島市にあるフランス料理「L’Atelier de NOTO」ラトリエ・ドゥ・ノト をご紹介します。
輪島の朝市 や 輪島塗 で知られる小さなこのまちにオープンして以来、金沢や東京からのお客さんが絶えないフレンチの人気店となりました。
2022年 初夏のお料理です。
過去記事「能登半島グルメドライブ」は→こちら
ラトリエ・ドゥ・ノト の基本情報
所在地 | 〒928-0001 石川県輪島市河井町4-142 |
TEL | 0768-23-4488(10:00~) |
LUNCH | 11:30~L.O.13:30 |
DINNER | 18:00~L.O.21:00 |
駐車場 | 専用駐車場あり(徒歩1分) |
アクセス | 輪島マリンタウンより徒歩約3分 |
定休日 | 月曜日、火曜日のランチ |
公式サイト | https://atelier-noto.com/ |
ラトリエ・ドゥ・ノトへのアクセス
ラトリエ・ドゥ・ノトがある輪島市街地までは車だと金沢から90分、能登空港から30分弱。
「道の駅 輪島」からは、海へ向かって直進、写真のメガネの看板の山下時計店の角を左に折れて右側3軒目がラトリエです。徒歩約10分。
金沢や能登空港からのバスの終点「輪島マリンタウン」からは徒歩3分。
朝市通りも歩いて数分の距離と輪島観光にも便利な立地です。
お店の専用駐車場は、ラトリエ・ドゥ・ノトの前を写真左奥にまっすぐ進んだ突き当りの駐車場(角歯科医院のお向かい)の⑧⑩⑪⑫⑬です。
目立つ看板はないので、初めて来られた方は間違いなく素通りしてしまうような普通の古民家なのですが
お店の側面を見るとわかる、奥行きがある立派なお宅は、元々塗師(ぬし)の家でした。
塗師とは、徹底した分業制であった輪島塗の製作工程において、木地師が挽いた木地に漆を塗る職人のこと。
北前船が隆盛を極めた江戸時代に文化の花開いた輪島塗の繁栄を物語っているなぁ、といつもこの塗師の工房の側面を見て勝手に思いを馳せるpiyonです。
シェフの池端さんと店内
塗師の家を素敵にリノベーションしたラトリエ・ドゥ・ノトの店内はとても落ち着く雰囲気。
オーナーシェフの池端さんは、大阪のフレンチの名店「カランドリエ」を経てフランスへ、その後故郷の輪島でこの店をオープンされました。
今ではコロナ禍でも影響を受けなかったというほどの人気店となっています。
いつも笑顔で迎えてくれる気さくな池端さんは、料理人として脂がのる40代に突入、健康管理の結果、見違えるほどスマートになり(その後、若干戻っちゃった感もアリ)今後のご活躍にも心配はなさそうです。
写真右奥には入り口に近い個室があります。
こちらの写真右奥の明るい個室は、元々あった蔵の入り口前のスペースとなっていて趣があります。
塗師の家の雰囲気を壊さずに、わざわざ能登に出かけてフレンチをいただくというシチュエーションに似合う素敵なリノベーション。
今は新緑とツツジが美しい中庭に、時間の経過とともにどんどん雪が降り積もる光景を見たことがありますが、なんとも言えない風情がありました。
屏風絵のようでもあるけれど格調高過ぎない中庭と店内は緊張感なくリラックスできます。
シェフの池端さんの気さくなお人柄と輪島という土地柄、そして木のぬくもりをふんだんに感じられる店内が作り上げている雰囲気が「フレンチだけど気軽に食べられるラトリエ」につながっています。
金沢から車で90分の ラトリエ・ドゥ・ノト は、ワインとディナーを楽しんだら輪島で宿泊する金沢からのお客さんも多く、歩いてすぐの「ホテルルートイン輪島」はラトリエディナーの強い味方です。
ラトリエ・ドゥ・ノトのドレスコード
最低限のマナーは必要ですが、ラトリエ・ドゥ・ノト は気取ったギャルソンがいるようなお店ではないですし、気軽に利用できるのがこのお店の魅力でもあるので、気合を入れておしゃれする必要もなくディナー時の男性ジャケット必須ということもないです。(年配の方は着用されてる方が多い印象)
カジュアルなおしゃれを楽しむ、ぐらいのイメージで良いと思います。
ラトリエ・ドゥ・ノトのお料理
コースのお値段
<LUNCH> Aコース 5,600円 Bコース 9,000円 Cコース 12,600円
<DINNER> Aコース 9,000円 Bコース 12,600円 Cコース 20,000円 (税・サ別)
お店の人気の上昇と共にお値段も上がりましたが、内容もちゃんとアップしていると感じます。
まだまだ都会のフレンチに比べればお得感もあり、金沢から車で1時間半で ラトリエ・ドゥ・ノト のお料理をいただけるのは幸せなこと。
アミューズはトマトとアジでさっぱりと
今回はディナー Cコースをいただきます。
輪島のトマトとアジのアミューズ。
日本海のアジは太平洋のと比べると身が柔らか過ぎるんですが、トマトの甘さが際立つさっぱりと美味しい一皿目。
このあとのお料理も期待できます。
ウドのスープは濃厚なのに爽やか
ウドのスープ。絶品。
初めウドが春の香りをいきなりふわっと届けてくれて、続いて甘エビの濃厚なソースが新たな世界へいざない、その先にコリコリ食感の能登のバイ貝との素晴らしい出会いがある。
素材の持ち味がコクを出しながらうま~く絡み合っています。
パンには無塩バターと舳倉島(へぐらじま)の塩をつけていただきます。
能登半島の北50㎞にある舳倉島の塩は、雑味が感じられずパンを美味しく引き立たせる深い味わいです。
春菊色の洋風茶碗蒸しは輪島フグと新鮮白子で味わい深く
春菊が個性的な色を添える洋風茶碗蒸しは、ミルキーで新鮮な白子がたまりません。
上にのってるふわふわレアのフグと、自家製カラスミが味わいを深めます。
フグはトラフグでしょうか。
美味しい♡
志賀町の岩牡蠣で旬を味わう
志賀町(しかまち)の旬の岩牡蠣はおおぶりですがありがちな大味ではなく、上手く処理をされていることが伺えます。
酸味のあるソースとレモンとジュレでさわやかに夏を感じられる一品。
宇出津産アワビは肝のソースで絶妙なおいしさ
これも唸る美味しさでした。
エイ貝と、真鯛のすり身をソーセージ状にしたものと、アワビ。
アワビの肝のソースと豆のソース。
宇出津(うしつ)産アワビと濃厚なソースの絡みが絶妙で、素晴らしい味わいです。
クジラも捕れる能登の海
たまたま網にかかったというクジラとビーツにバジルのソース。
クジラの下にはクスクスとビーツが隠れています。
クジラ特有のクセが少々ありましたが、クジラとしては非常に鮮度が良い、と三平。
ウニとイカのリゾット
輪島塗の器とスプーンでいただくのは、志賀町産のキタムラサキウニとイカのリゾット。
ウニの鮮度が格別で、イカ墨が芳醇なアクセントを加えながらもとっても上品な仕上がりです。
お米は輪島市の山間に位置する「金蔵集落」の棚田で育った金蔵米(能登ひかり)。
輪島塗は信じられないほどの手間と時間がかかっている分お値段は優しくないけど、お湯呑みやスプーンって本当に口当たりが優しくて大好き。
日本各地にある塗物とは一線を画す、世界に誇る輪島塗です。
輪島産ノドグロは当然の美味しさ
輪島のノドグロと春キャベツ、白ワイン風味のソース。
アスパラのように見えるのは、にんにくの芽とさや大根。
もはやノドグロの美味しさは言うまでもありませんが、特に輪島産のノドグロは最高です。
的確で繊細な火入れで、皮目はパリッと香ばしく、身はふわっふわっ&しっとり。
イタドリのグラニテ
イタドリのジュレと共にいただく口直しのグラニテは、個性をあまり感じない当然イタドリの味で、口直しにはふさわしいのでしょう。
お肉は能登牛
石川県民に盲目的に崇められている能登牛。
関西人からすると、そないに美味しいか?と思わなくもないけれど、年間の出荷頭数が500頭と少ないのでお高いです。
脂身が苦手だと伝えてあるお肉料理は、お尻の最も柔らかいラムシン肉のローストを牛の骨から取った出汁と赤ワインのソースでいただきます。
地肌に現れる模様が美しいナイフは、福井県越前市の「龍泉刃物」。
デザート
牧草のみで育ったジャージー牛乳のアイスとショウガのクレームブリュレの周りを彩るのはメロンの冷たいスープ。
クレームブリュレとアイスが、さわやかに広がるメロンの香りと混然一体となってなんとも言えない美味しさでした。
幸せを噛みしめまーす。
フィナンシェ(撮影前にひとくち口に入れてしまい小さくなっています)とタルトショコラ
シェフの能登愛がびんびん伝わるお料理の数々、ごちそうさまでした。
美味しくて楽しい時間はあっという間に過ぎていきます。
1番お高いコースならではの贅沢な素材をふんだんに使ったお料理は、どれも満足のいく一品に昇華されていました。
輪島市民大花火大会2022
3年ぶりに開催される「輪島市民大花火大会」に行こうと思い立ち、まさか空いてないよねと電話をしてみたら「ちょうどキャンセルが出たところ」だということで久しぶりのラッキーなラトリエ行きが実現した今回。
お食事をいただいた後のいいタイミングで花火が始まりました。
30分間で途切れることなく怒涛の2万2280発!という輪島の花火は、大迫力で見ることができるマリンタウンが広く、たくさんの方が訪れていましたが密にもならず、めちゃくちゃキレイな素晴らしい花火大会でした。
ありがとう!輪島花火のスタッフのみなさん!
これはもう全国に誇れる花火大会だと自信を持って言えます。
前日金沢港を出航した「にっぽん丸」が岸壁に横付け、さらに「パシフィックビーナス」も少し離れたとこで停泊しながら花火を鑑賞していました。
2018年に乗った「【にっぽん丸 デラックスベランダ 乗船記】サハリン・利尻クルーズ」はこちらから
ラトリエ・ドゥ・ノト まとめます
開業メンバーに、ホールを担当する恐ろしく能力のある男性がいらっしゃいましたが、彼は現在パリでご活躍、その後のホールはなかなか定着せず、サービスの質が安定しない感があるのが唯一の残念なところ。
でもその素朴さもこの店の魅力かなぁ、と思ったり。
洗練された雰囲気を求めに、わざわざ輪島まで来る人もいないでしょうし。
能登の魅力を存分に、しかも気軽に味わえる ラトリエ・ドゥ・ノト は、能登の農家さん、漁師さん、猟師さん、海女さん、輪島塗の職人さんたちの誇りや、能登の豊かな食材に対するシェフの謙虚な気持ちなど、さまざまな魅力が詰まったお店です。
東京にはもっと美味しい本格的なフランス料理のお店がきっとあるのでしょう。
キランキランした華やかさはないけれど、でもここにしかない、自然の恵みのありがたさ、味わい、あたたかさ、を五感で感じることができる貴重なお店です。