令和4年はコロナ感染対策のため、通常の日程より長い4月3日~6月29日の開催となった7年に1度の盛儀 善光寺御開帳。
宿坊「淵之坊」さんの案内で内々陣で参拝した様子と、 御開帳精進懐石 のお料理をご紹介します。
善光寺の基本情報
所在地 | 〒380-0851 長野市大字長野元善町491-イ |
TEL | 026-234-3591 9:00~16:30 |
アクセス | <車> 新潟方面 長野須坂ICから約40分 東京方面 長野ICから約40分 <徒歩> 長野駅から約30分 <バス> 長野駅から約10分 190円 善光寺大門下車 |
駐車場 | 周辺に有料P多数あり |
公式サイト | https://www.zenkoji.jp/ |
上信越道から妙高戸隠連山の絶景を見ながら、長野県善光寺へ向かいます。
車の場合、平日の9時過ぎの長野須坂ICから善光寺は30分もかかりませんでしたが、御開帳期間中の週末は、道路も駐車場も非常に混むと思われますので余裕をもってお出かけください。
足に不安のある方が長野駅からタクシーに乗る場合、通常降ろされる善光寺の参道入り口からは約10分歩くことになるので、運転手さんにお願いして本堂の近くまで行ってもらいましょう。
善光寺の駐車場
一般車用の善光寺の第1・第3・第4・第5駐車場は本堂の裏手にあり裏から本堂に行けてしまうので、参道の両側にある宿坊や仲見世通りのお店をのぞいて門前町の雰囲気を感じながら歩いてテンション上げてからお参りする、ということができません。
おすすめの駐車場
「西之門よしのや」という蔵元直営のお店で1,000円以上お買い物をすると、指定駐車場の3時間無料駐車券をいただけます
日本酒の他にもお味噌、ノンアルコールの甘酒などあり、少しずつ全種類にわたって試飲をさせてくれるので(というかお店というよりまさに試飲会場で次から次へと試飲をおすすめされます)お買い物の予定がある方はこちらの駐車場を利用すると楽しめます。
御開帳の期間は、朝5時から参道を歩く方もいらっしゃるので6時から営業しているんですって!さすが御開帳!
緑があふれ、気持ちのいい「西之門よしのや」の中庭にはお手洗いもあります
善光寺御開帳
善光寺御開帳とは
善光寺の御本尊である阿弥陀如来は、ご住職でも拝むことができない絶対秘仏です。
その身代わりとして、同じ姿をした「前立本尊」(まえだちほんぞん)を7年に1度、本堂にお迎えして公開するのが「御開帳」。
ご本尊の前に立つから「前立本尊」!
ご本尊と繋がる回向柱
御開帳の期間、本堂の前に回向柱(えこうばしら)を建てます。
善光寺御開帳のシンボルは、45㎝角 高さ10m。
この回向柱の建立にはクレーンを使っていた時期があったものの評判が悪く、もとのように職人さんたちの技による人力で行われている、とTV番組で見ました。
そりゃクレーンを使いたくもなるわな、とは思いますが、回向柱建立式 という厳かな儀式にクレーンは似つかわしくありません。
回向柱の後ろに伸びる白い糸が見えますが、阿弥陀如来(前立本尊)の右手に結んだ金の糸が五色の糸になって伸び、さらに白い糸となって回向柱に結ばれているのです。
阿弥陀如来から繋がる回向柱に触れることで、参拝者も前立本尊と繋がり功徳を得ることができる、とされています。達筆とは言えないような微妙な字ですが。ありがたいありがたい回向柱です。
淵之坊さんの案内で善光寺御開帳 参拝
宿坊「淵之坊」
所在地 | 〒380-0851 長野県元善町462 |
TEL | 026-232-3669 |
駐車場 | 有 |
公式サイト | https://fuchinobo.or.jp/ |
●善光寺 永代宿坊 淵之坊●
善光寺「縁起堂」と称される淵之坊の、内仏殿のご本尊は、立像の阿弥陀如来さまです。
永代宿坊は、浄土宗の14坊、天台宗の25院、の合計39あり、各宿坊にはご本尊が奉られ、善光寺如来に奉仕する住職がいらっしゃいます。
善光寺の手前で車両進入禁止になる交差点「善光寺」から表参道石畳を数10m歩いた右側に、宿坊「淵之坊」があります。
宿泊利用者は、淵之坊裏手にある駐車場に停めることができ、第1~第5駐車場も無料券をいただけます。
宿坊「淵之坊」の御開帳参拝特別プラン
数年前に宿泊し、翌朝「お数珠頂戴」と「お朝事」の案内をしていただき、心にずっと残るいい体験をした善光寺の宿坊「淵之坊」さんの「御開帳参拝特別プラン」で、今回の善光寺御開帳のお参りをして、還暦を迎えるpiyonの厄払いの祈願をしていただきます。
御開帳期間でなくても、ご案内付きで御数珠頂戴や本堂の内陣にての「お朝事」にも参加できる宿坊での宿泊は強くおすすめいたします。
今回参加した宿泊なしのプランは淵之坊所属の善光寺公証案内人さんの案内で、混雑する御開帳の期間でもスムーズに参拝でき、内々陣においてひとりずつ名前を読んでいただきながらの法要に参列でき、淵之坊の精進懐石料理をいただく、というものです。
内陣は参拝者がお参りをする場所 内々陣は本堂最奥部にあり日々お坊さんがお経をお唱えする場所
御開帳の期間、毎日行われます。
●スケジュール●
10:30 淵之坊 集合 説明を受けながら、祈願・供養していただく内容や住所・氏名などを記入、祈願・供養料を納めます
11:00~12:30 参拝
12:30 淵之坊にて昼食 御開帳精進懐石 3,300円
●祈願・供養料は3000円から
●別途600円の内陣券が必要
淵之坊にて親切な説明を聞きながら、家内安全・病気平癒・商売繁盛・学業成就 など希望する祈願や供養の種類、住所、氏名など申込書に記入し、祈願・供養料をお納めします。
また、本堂内陣にての法要に参列するので内陣券も必要ですが、おすすめだという 御開帳参拝共通券 を購入しました。
●内陣券(600円) 内陣・お戒壇巡り・忠霊殿(善光寺資料館)
●御開帳参拝共通券(1,200円) 内陣・山門・経蔵・お戒壇巡り・忠霊殿(善光寺資料館)
山門券だけだと500円なので、内陣・お戒壇巡り・山門だけで良いなら内陣券+山門券で1,100円です。
淵之坊でのお食事は、畳のお座敷にテーブルと椅子、というスタイルなので、正座に不安がある方でも楽ちんで安心です。
なお、宿坊 淵之坊では御開帳期間の宿泊はすべての日にちで満室だそうです。
さすが御開帳!
淵之坊での宿泊は、大浴場(というより中浴場ですが)があり、トイレと洗面所は共用、館内は清潔でキレイに整えられています。
仁王門
淵之坊の案内によるこの日の参拝者は、平日なので中高年のみの10数名、案内人さんが淵之坊チームだと一目でわかるように参加者は緑のたすきを掛けて10:50に出発します。
宿坊が軒を連ねる表参道石畳を歩きだすとまず現れるのが 仁王門 です。
地震と火災による数度の焼失を経て、現在の仁王門は1918(大正7)年に完成したもの。
高村光雲とそのお弟子さんの米原雲海の作である、この仁王像を見るだけでもここまで来た価値があります。
筋骨隆々のムッキムキの身体と鋭い眼光と表情の圧倒的存在感で、善光寺を守るお役目を果たしていらっしゃいます。
仁王門までは道の両側を埋めるのは宿坊ですが、仁王門をくぐると趣が変わります。
仲見世通りのお店も7年に1度の書き入れ時。
ふつうのお土産物屋さんがいつの間にか姿を変えて、善光寺の雰囲気を損なわないおしゃれシブいスタバになっていました。
山門
1750(寛延3)年完成の重要文化財 山門まで来ました。
淵之坊をスタートして案内人さんのお話を聞きながら、途中立ち止まったりしてゆっくり歩いてここまで10分弱。
絶好の参拝日和です。
山門に掲げられている善光寺を象徴する「鳩字の額」の3つの文字には、5羽の鳩が隠れています。
善に2羽、光に2羽、寺に1羽。
「牛に引かれて善光寺参り」という信仰のとおり「善」の字は牛の顔に似ています。
回向柱を触る
荘厳な本堂と回向柱の前に来ると、神聖な気持ちになります。
淵之坊 の旗をお持ちの女性の案内人さんはお話がお上手で、スタイルも良く雑踏の中でも目立ってくださっていました。
今回の御開帳参拝で行列に並んだのはこの時だけ。
並んだといっても約10分。
本堂のご本尊さまと繋がれた回向柱を触って、ご利益をいただくための順番待ちです。
午後になったらもっと空きます、とのこと。
警備員さんの指示通り順番に進み、手指消毒をして、東と西の二面に分かれて片手のみで回向柱に触れる、という通常とは違うスタイルになっており、感染対策バッチリの印象でした。
案内人さんによると今回の御開帳は観光バスが圧倒的に少ないので、回向柱・お戒壇巡りなどすべての行列が通常の御開帳より短いとのこと。
善光寺事務局が予想する、混雑予想カレンダーを見て「比較的すいています」という日を選んで予約しましたが、見事に当たっていましたのでこれから行かれる方は是非ご参考になさってください。
混雑予想カレンダーは→こちらから
本堂内陣での法要に参列
内陣券600円を購入すれば、内陣で前立本尊を拝むことはできますが、祈願・供養の申し込みをすると、本堂最奥部の内々陣に特別に入ることができ、読経をするお坊さんと同じ空間で法要に参列できます。
祈願・供養は宿坊経由でなくとも、本堂手前にある事務所で申し込むこともできます。
まずは「御印文頂戴」です。
錦の布にくるまれた善光寺の宝印(御印文)を頭に押してもらってご本尊さまと縁が結ばれ極楽往生できる、という御印文頂戴は、本来1月の限られた期間にのみ行われるものですが、御開帳の期間中には特別に頂戴できるのです。
御印文頂戴はざっくり言うと、極楽往生できるスタンプを押してもらう、という感じだそうで、体感としては、一瞬頭の上にちょこんとのせてもらう、という見た目はかわいくとも、ありがた~い儀式でした。
そして法要に参列します。
荘厳な雰囲気に包まれる本堂は撮影不可。
靴を脱いで150畳の大広間(内陣)にあがり、座って前の回が終わるのを待ちます。
続いて内々陣へと進みます。
piyonはありがたいことに中央で読経するお坊さんのすぐ後ろに座ることができました。
左右にはたくさんのお坊さんがいらっしゃいます。
読経のあとは、ひとりひとりの祈願・供養の内容と「金沢市 piyon」と名前が読み上げられ、いよいよクライマックスです。
絶対秘仏のご本尊がいらっしゃるお部屋である 瑠璃壇 の戸張がするすると上がり、お姿は見えなくともそのありがたい「気」をいただいたような気持ちになりました。
これ、意外とあっという間にまたするすると閉じるので目をしっかと開けて見逃さないようにしましょう。
お経を読まれたお坊さんはお弟子さんに導かれ、さらに左右にいらっしゃったお坊さんたちも退席され法要は終了、piyonたちも立ち上がり、前立本尊さまの目の前まで移動し、拝むことができました。
淵之坊で祈願の申し込みをして、数十分後には内々陣で名前が読み上げられるというシステマチックな流れにも善光寺が積み重ねてきた伝統を感じます。
内陣に入る前に、善光寺の方が読みにくい名前(フリガナも書くんですけどね)の確認に来られたりアナログ的な匂いは十分するのでFAXで送信しているんでしょうか。
本堂(国宝)
1707(宝永4)年完成。
高さ30m、間口24m、奥行き53mの大伽藍
本堂は644年の創建以来12回目の建築だそうです。
スプリンクラーも消防車もない時代、木造建築は一気に燃えたんでしょうね。
piyonは還暦の厄払い祈願をしていただきましたが、もうこれで大丈夫!とすっきりするほどありがたい特別な体験でした。
感染対策のため足元をライトで照らしてる、というお戒壇巡りは今回はやめて、御印文頂戴と法要で約30分。
経蔵で輪蔵を回す
さわやかな青空と同じすっきり気分のまま、淵之坊さんの案内は続きます。
戊辰戦争から第二次世界大戦までの戦争で亡くなった英霊を祭る日本忠霊殿と、善光寺資料館(2つは同じ建物内にあります)を見学したのち、経蔵へ。
経蔵
重要文化財
1759(宝暦9)年完成
建物に入ると、仏教の経典が収められている書庫である八角形の輪蔵がどーんとあります。
輪蔵に付いている8本の腕木を押して輪蔵を一周回すことで、収められているすべての経典を読んだことになり、功徳を得られるのだそうです。
こんなにラクして功徳を得られる?と思いながらも楽しく回すのでした。
山門に登る
山門には絶対登ってください。
(恐ろしく急で、踏み面が極狭の階段を登る必要があります)
回廊に出て長野駅側の景色に、ひゃーっと歓声を上げていましたが
本堂側にまわるとさらに絶景でした。
背景に広がる山々の緑に風格を漂わせる善光寺本堂。
下でみんな一生懸命本堂を撮っていましたが「なんやこっちの方が全然キレイやん」との声があちこちで上がります。
善光寺で外せないスポットです。
淵之坊の御開帳精進懐石
本堂での法要のあと、忠霊殿と山門を案内していただいて、スタートしてから2時間弱で淵之坊に戻ってきました。
淵之坊「御開帳精進懐石」をいただきます。
「御献立」とともに書かれている淵之坊 料理方の「口上」によると、「仏教寺院の伝統に基づき、肉・魚・卵・魚介系出汁などの動物性食品と、古来煩悩を生ずるとされるネギ・ニラ・ニンニクを一切使用していない」ということです。
<口代り> (くちがわり)
◇港揚げ ◇岩石胡桃 ◇ししとう
<坪> (つぼ)
◇こんにゃく胡麻味噌かけ
<平> (ひら)
◇胡麻豆腐 ◇大根おろし ◇わさび
<おひたし>
◇わらび ◇くるみ片
<煮物>
◇凍豆腐 ◇蕗 ◇筍 ◇椎茸 ◇青もみじ麩 ◇木の芽
<酢の物>
◇もずく ◇胡瓜 ◇菊花大根
蓮根と長芋をすりおろし揚げた「港揚げ」や精進料理の定番である胡麻豆腐は絶品、胡桃や筍など新鮮な地元の素材を徹底的に生かしたやさしいお味付けです。
<蒸物>当坊名代「満月」
◇椎茸あん ◇大葉
ひき肉の代わりに胡桃を刻んで味噌で炒め、長芋の皮で包んだ蒸し物ですが、椎茸のお出汁でこの味が出せるものなのか!と驚愕のお味です。
<おしのぎ>
◇花わさびとなめこの温かいお蕎麦
ピリッとさわやかに辛い花わさびがいいお仕事してます
<ご飯>
◇石餅の花
これも淵之坊名物で、お赤飯のまわりに長芋のとろろ。
かわいい見た目とやさしい味で笑顔になれる一品。
最後は 豆乳のパンナコッタ
精進料理と聞くと、なんか寂しさ漂いますが、淵之坊さんのそれは見た目も美しく華やか、動物性のものを使っていないとは思えない、しっかりとしたコクのあるやさしいお味で素晴らしいです。
ごちそうさまでした。
高齢でない男性は、このあと唐揚げとか食べたくなるかもしれませんが。
最後に祈願・供養を申し込むといただけるお証(おしるし⦅お札とお守り⦆)を頂戴しました。
善光寺御開帳記念ペヤングやきそば蕎麦風
善光寺のお土産はこれで決まり!
でもあまりの美味しさとインパクトで売れ過ぎちゃって、現在入荷待ちでせっかく善光寺まで行っても購入できず、通販サイトでも在庫なし状態で5月下旬から販売再開されるそうです。
このペヤング蕎麦風は、大勧進限定のもので、善光寺で購入できるのは大勧進の入り口の特設テントだけ。
山門からの眺めが美しい 本坊 大勧進 は天台宗大本山で善光寺25院の本坊、お商売も上手。
やきそば蕎麦風ってどんなん?と全く味の想像が付かないながらも、案内人さんのおすすめもあって買いましたが、18個入りの箱買いすりゃよかった、と後悔するほど美味しいです。
添えられている善光寺名物 八幡屋磯五郎 の七味がまたさっぱりスパイスとなって際立っています。
そば粉を一切使用してないそうですけど、やきそばと言うよりは蕎麦な感じ。
こりゃ大ヒット。4個1,000円。
まとめます
7年に1度の善光寺御開帳。
いい体験ができ、行って良かったと心底思いました。
何度お参りしても心と身体を軽くして帰ることができる、ありがたいお寺、善光寺。
精進料理がとても美味しく、清潔に整えられた淵之坊で宿泊して早起きしてのお朝事もまた体験したいな、またお参りしたいな、という気持ちになりました。
令和4年の善光寺御開帳は6月29日(水)まで。
次は7年後。
7年後の世界がどうか平和でありますように。