金沢おいしい旅

【兼六園・金沢城公園】石川門から入ろう! おすすめルートと見どころ

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約24分

歴史と伝統が育んだ街 金沢は、主要な観光スポットがぎゅっと街の中心部に集中していて、そのシンボル兼六園金沢城公園をセットで歩いて周って、さらに他の観光スポットも前後につなげて、グルメもアートも楽しめるとても優れた観光地です。

今回は金沢城公園と兼六園を周るルート見どころをご紹介します。
城下町金沢を存分に味わってくださいね

「石川門」から入る「金沢城公園」

金沢城公園の顔「石川門」にはいくつも入り口がありますが、piyonは金沢城公園には正面から石川門を見て入るのが好きなので、今回は近江町市場周辺をスタートし、「入城」という気分も上がるこの「石川門」から入るルートをご紹介します。

石川門の石川櫓

少し遠回りルートになるけれど、「それでもやっぱり石川門から入りたい」時間に余裕がありお散歩好きなシニアさんにおすすめです。

近江町市場から白鳥路を通って「石川門」へ

近江町市場周辺から金沢城・兼六園へは、金沢の町家を生かした風情あるお店や街並みを楽しみながらの20分ほどで行ける徒歩をおすすめします。

近江町市場商店街Mapは→こちら

石川県作成のガイドマップより

ちなみに
近江町市場から金沢城までの最短ルート
 近江町市場の十間町口を出て➡金沢城公園の黒門口へ至るルート
 黒門口からぐる~っと金沢城公園を周って 石川門を出て兼六園へとつながります。

今回は近江町市場周辺から金沢城公園石川門へ至るルートのご紹介です

近江町市場十間町口鮮魚通り口を出て金沢城公園へ向かいます。

BOULANGERIE mashi mashi
正面奥が大手門口
左奥に見えているのが大手門口

近くに美味しいパン屋さん「mashi mashi」が見える金沢城公園大手門口を目指して歩きます。

埋め立てられずに唯一残る大手堀

「mashi mashi」 の前の道を直進し大手堀を右手に、大手門を正面に見て、左手の小径に入ります。

金沢城のお堀「白鳥堀」を明治時代に埋め立て、遊歩道とした白鳥路に入りました。
6月中旬には、蛍の乱舞も見ることが出来る静かで緑豊かな市民の散歩道。

白鳥路を飾る彫刻群を代表する、台座の石組みもかわいい「金沢三文豪のブロンズ像」は左から室生犀星、泉鏡花、徳田秋声

白鳥路出口(百間堀口)まで来ると、教科書などで見たのとはかけ離れた面影の、男前前田利家公のブロンズ像が現れ「えらいイメージとちゃうやん」と見るたびに思いながら、桜の向こうに姿を見せる白く存在感を放つ石川門の櫓に目をやります。 

この近くに、観光客さんに非常に便利な「城下まち金沢周遊バス」左回りルートのバス停「兼六園下・金沢城」があります。
21世紀美術館から来た左回りルートの 「城下まち金沢周遊バス」 は「兼六園下・金沢城」バス停からひがし茶屋街方面へ向かいます。

この車道も藩政時代はお堀だった

横断歩道を兼六園側に渡ります

横断歩道を渡ったところにあるバス停「兼六園下・金沢城」は、ひがし茶屋街から来た「城下まち金沢周遊バス」右回りルートが停車します。
次のバス停は「広坂・21世紀美術館(石浦神社前)」

主要な観光スポットを網羅している「1日フリー乗車券¥600」が便利な城下まち金沢周遊バス の詳細は→北陸鉄道のHP

加賀藩の御用染商、館紺屋孫十郎が坂の付近に住んでいたことからこの名前が付いたという、紺屋坂を上ります。

近江町市場十間町口鮮魚通り口から歩いて20分ほどで、兼六園と向かい合って立つ石川門に到着です。

金沢城公園 基本情報

石川門の石川櫓
入園料無料
【菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓】への入館は
大人¥320 
小人(6歳~18歳未満)¥100
開園日年中無休
開園時間3月1日~10月15日  7:00~18:00 (退園時間)
10月16日~2月末日 8:00~17:00 (退園時間)
園内ライトアップ毎日21時まで
入園口:石川門・鼠多門・玉泉院丸口
外周部ライトアップ毎日22時まで
早朝開園3月1日~3月31日 5:00~
4月1日~8月31日 4:00~
9月1日~10月15日 5:00~
10月16日~10月31日 5:00~
11月1日~2月末日 6:00~
HPhttp://www.pref.ishikawa.jp/siro-niwa/kanazawajou/index.html

☆65歳以上のシニアさんなど入場料免除がありますので【金沢城と兼六園】HPでご確認ください
☆鳥のさえずりを聞きながらさわやかな朝の空気を吸って、人が写りこまない写真が撮れる早朝開園特におすすめ!
☆ライトアップもとってもキレイでおすすめ!

例年は最も金沢城公園が賑わう観桜期
コロナ禍では仕方がないけど
似合わない一方通行のための赤いコーン

● 金沢城の変遷 

  • 1583年(天正11年)前田利家により本格的な築城が開始され
  • 1869年(明治2年)まで14代に渡り加賀藩前田家の居城とし
  • 1871年(明治4年)からは陸軍の管轄となり
  • 終戦後は1995年に移転するまで金沢大学のキャンパスが置かれた
  • 平成8年(1996年)より金沢城公園として一般公開を開始

1983年にpiyonが金沢旅行に来た時は兼六園に来たついでに「石川門」だけ見て、門の中を覗くと校舎とグラウンドが見えて「お城の中に大学があるなんてロマンチック」と羨ましかった記憶があります。
一般公開されたのは平成に入ってからなんですね。

総合案内所の案内板より

白い矢印のあたりが近江町市場です。「現在地」とある場所が総合案内所。

現存する藩政時代の数少ない建物「石川門」

お庭とお城を結ぶ石川橋から見るかつてのお堀「百間堀」

溶かして鉄砲弾に作り変えるために鉛を使用しているので白く見える 鉛瓦と海鼠(なまこ)塀が青空に映えて美しい

一の門をくぐり直角に曲って二の門。これは敵の進入の勢いを鈍らせる枡形と呼ばれる構造。
正面の壁と左側の壁の石垣は異なる積み方でおしゃれ~

枡形門は高麗門の一の門、櫓門の二の門、続櫓と2層2階建ての石川櫓で構成されています。
それにしても今も残る石垣の美しさ。火災に遭うこともなくよくぞ残っていてくれました。
積み方は「切石積み」。

二の門

重要文化財に指定されている現在の石川門は、天明8年(1788)に再建されました。
城内は幾多の火災によりほとんどが焼失し、三十間長屋とともに現存する加賀藩時代の数少ない建築物のひとつである石川門

頑強あるいは堅牢そのものの二の門

桝形の内側で二の門から一の門を見ています。
写真正面が「粗加工石積み」、右が「切石積み」。
海鼠壁との美しいコントラスト

石に掘られた記号のようなものは、諸説あるものの石職人のサインともいわれています

二の門を入ったところにある総合案内所には、お手洗い・コインロッカー・自販機があります
石川県作成のガイドマップより

前田さまのお宅もだけどお庭も相当デカい

復元された「五十間長屋」

芝生も青々と九月の五十間長屋

石川門を抜けると三の丸広場が広がり、目の前に「五十間長屋」(ごじっけんながや)がどどーん。
石川門からの入城をおすすめする理由が、まず正面から見ていただきたい見事に開けたこの景観です。
3層3階の菱櫓(ひしやぐら)と橋爪門続櫓(はしづめもんつづきやぐら)とを2層2階の五十間長屋でつないでいます。

藩政時代に焼失した建物が復元整備事業によって蘇り、キレイ過ぎる感は否めないところですが、復元作業には気が遠くなる労力を必要としたであろうし、今こうして圧巻のスケールのかつての姿を見ることができるのはありがたくて素晴らしいこと。
尽力されたすべての方に深く感謝です。

石川県HPによると
56,000人に及ぶ大工・左官・板金・建具等の石川県内の職人さんたちが施工にあたり、熟練工から若い職人までが一体となり力を発揮したことで、伝統技術の継承に大いに役立った
ということです

五十間長屋とは

平成13年7月に完成した、延べ床面積1894.23平方mの復元建物で、石川門や三十間長屋と同様、鉛瓦や海鼠塀が外観の特徴です。
明治以降に建てられた木造城郭建築物としては全国再最大規模で、大径木の事前調達や土台石垣の解体、修築を含め、平成10年3月から実に3年4ヶ月をかけて造られました。
3層3階の菱櫓と橋爪門続櫓を2層2階の五十間長屋でつないでいます
これらの建物は、戦の際に二ノ丸を守るための施設で、石落しや鉄砲狭間となる格子窓、白塗漆喰壁や海鼠壁で防火構造になっている外壁がその強固さを示しています。
菱櫓は大手と搦手を見張る物見櫓、橋爪門続櫓は二ノ丸大手の橋爪門枡形を見張る物見櫓、五十間長屋は武器等の倉庫でした。

石川県HPより
一番右が菱櫓

武器等を保管する倉庫であり、また戦に備えた城壁の意味もあった五十間長屋
釘やボルトを一本も使ってないのに耐震性に優れた構造だそうです。

お城ビューの「鶴の丸休憩館」でひとやすみ

五十間長屋を右手に見ながら直進すると見えてくる、前面がガラス張りの建物は、お城を眺めながらホッと休憩できるスポット「鶴の丸休憩館」
トイレも新しくキレイで、広い多目的トイレももちろんありおすすめです。

金沢城を学ぶ資料の展示も充実し、無料休憩所の他に、和カフェ豆皿茶屋(営業時間11:00~16:00)も併設しています。

「額縁の中の五十間長屋」のような絶景 鶴の丸休憩館

眺望重視の豆皿茶屋のお席

季節の上生菓子とたっぷり二杯分ある加賀棒茶 ¥850

「鶴の丸休憩館」の前には鶴の丸土塀の構造模型と

ふだん表面しか見ることが出来ない石垣の技法が、横や後ろからもわかる展示があります。

鶴の丸広場側から見た「橋爪門続櫓」

現存する「鶴丸倉庫」と「三十間長屋」

さらに進んだところにある、現存する数少ない当時の建物「鶴丸倉庫」とは

幕末の1848年に竣工した武具土蔵で、石川門・三十間長屋と同様に重要文化財に指定されています。
明治以降は、陸軍によって被服庫として使われていました。

石川県HPより

鶴丸倉庫から丑寅櫓跡への坂道から見える五十間長屋。
この石垣より上の、今は雑木林となり何もない「本丸園地」にかつて天守閣が存在しましたが、1602年(慶長7年)に落雷により焼失してからは再建されることはありませんでした。

9月の丑寅櫓跡(うしとらやぐらあと)から見る兼六園の茶店通りは、木々が生い茂り兼六園は見えず朝は逆光でもありますが、桜の時季にはpiyonの大好きなお花見ポイントになります。
春や紅葉の季節にはぜひここまで上ってきてくださいね。
鶴丸倉庫から上り坂ですが近いです。

金沢城が明治から昭和にかけて旧陸軍の所管になり軍用施設が設けられたことを生々しく語っている戌亥櫓(いぬいやぐら)石垣に掘られた「レンガ造りのトンネル」は、弾薬庫への通路でした

国指定重要文化財「三十間長屋」は食器などを収める倉庫でしたが1759年「宝暦の大火」以後しばらく再建されず、幕末1858年(安政5年)の再建後は武器・弾薬庫として使用されたといわれています

金沢城に現存する唯一の長屋「三十間長屋」

菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓

城内で最も高い格式の橋爪門

橋爪門」を「二の丸広場」側から見ています

かつて「二の丸御殿」があった二の丸広場
金沢城公園ではボランティアガイドさんが親切に案内してくださいます。


菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓は、古図や古写真などの資料が数多く残っていたことや現存する石川門三十間長屋などから、1809年(文化6年)の再建時の姿を忠実に再現しました。
伝統的な建築工法など築城の知恵がつまった内部は、金沢城公園で唯一有料です。

橋爪橋
菱櫓
春は桜が彩る菱櫓

桜の季節、ここ菱櫓(ひしやぐら)横の内堀の桜は人気の撮影スポット

大手門と石川門を見張る物見櫓(ものみやぐら)として重要な役割を果たしていた菱櫓は、死角を少なくし視野を大きくするために建物の平面が菱形(内角が80度と100度)になっていて、使用されている100本の柱も菱形

どこから見ても美しい五十間長屋

コロナ禍なんて想像もしなかった数年前の桜の季節にここで見た忘れられない光景があります

金沢の桜は金沢城公園が他のどこよりも圧倒的に美しいと思う
桜満開の金沢城公園の三の丸広場を歩く多くの人の中に、ひと組の高齢のご夫婦
奥さんが乗った車椅子をご主人が押しながら歩いていた
「あ~ホントに綺麗だねぇ」
「来てよかったね~」
優しい笑顔で奥さんに語り掛けるご主人

奥さんの表情は全く変わらなかった
それでも本当に幸せそうに車椅子を押すご主人
幸せにあふれた光景
胸が熱くなる
奥さんのお世話をする高齢のご主人のご苦労という現実を思うと
幸せという言葉で語ることはできないけど
でもあの瞬間は幸せな夫婦の光景だった

認知症になった私を果たして三平は車椅子に乗せて
お花見に連れて行ってくれるだろうか
いやそれより私の顔もわからなくなった三平を
車椅子に乗せてお花見に連れて行くだろうか私
河北門から菱櫓を望む

右が河北門

高い防御力を備え金沢城の重要な門のひとつであった「河北門」は2010年(平成22年)に復元されました

金沢城公園のまとめ

「鼠多門」「玉泉院丸庭園」を除いて「金沢城公園」をぐるっと周ってきました。
ここまで写真を撮りながらの金沢城公園のお散歩は1時間ちょっと。
再び石川門を通り、続いてお向かいの兼六園に向かいます。

今回ご紹介できなかった金沢城公園の石垣と鼠多門・玉泉院丸庭園は「尾山神社・21世紀美術館とつながるルート」で記事を更新する予定です。

季節ごとに見どころの多い「兼六園」

10月初めの朝の「徽軫灯籠(ことじとうろう
雪吊りの兼六園もまた美しい
夜の兼六園もおすすめ
積もり過ぎるとこうなります

兼六園 基本情報

霞ヶ池と「徽軫灯籠(ことじとうろう)」

「兼六園」が一般に開放されたのは明治7年

開園時間3月1日~10月15日  7:00~18:00 (退園時間)
10月16日~2月末日 8:00~17:00 (退園時間)
開園日年中無休
入園料大人(18歳以上)¥320
小人(6歳~18歳未満)¥100
使用可能な電子マネー等(クレジットカード)JCB、VISA、MasterCard、アメリカン・エキスプレス、ダイナースクラブ、中国銀聯
(交通系電子マネー)Suica、ICOCA、TOICA、PASMO、Kitaca、manaca、sugoca、nimoca
(流通系電子マネー)楽天Edy、QUICPay、iD、WAON、nanaco、PayPay
早朝無料開園3月1日~3月31日 5:00~6:45
4月1日~8月31日 4:00~6:45
9月1日~10月15日 5:00~6:45
10月16日~10月31日 5:00~7:45
11月1日~2月末日 6:00~7:45

石川県作成のガイドマップより

兼六園 早朝無料開園

金沢城公園兼六園が素晴らしいことのひとつでもある「早朝無料開園」は、入園できる門が蓮池門口随身坂口に限定されています。
金沢城公園はいつでも無料

早朝入門出来る蓮池門(れんちもん)

4月~8月は朝4時から無料開園してくれています。(3月・9月・10月は朝5時から、11月~2月は朝6時から)
朝のさわやかな空気をいっぱい吸い込んで、鳥たちのさえずりを聞きながら気持ちのいい散策ができますよ。

10月初旬の朝6:30、朝日がしっかり射しています。

兼六園 無料開放の日

兼六園の県民鑑賞の日として、石川県民は土曜日・日曜日の入園料は免除となります。(公的機関が発行する運転免許証・健康保険証等が必要《copy可》)
また、観桜期・秋の段・冬の段など、すべての人に無料開放される日がありますので、金沢市観光公式サイト「金沢旅物語」でご確認ください。

兼六園 桂坂口

兼六園でもっとも観光客の出入りが多い桂坂口から入園し散策しましょう。
徽軫灯籠(ことじとうろう)に最も近い入り口は桜ケ岡口 ですが、ここ桂坂口 からが一般的かつおすすめです。

桂坂口から入場する手前左手にある飲食店の通り
入場する手前右手に茶店が並ぶ江戸町跡「茶店通り」

「兼六園・金沢城公園の眺めのいいカフェ」は→こちらから

茶店通りから見る石川門

兼六園を散策

3月末の「徽軫灯籠」

兼六園と言えば、の霞ヶ池の岸に立つ灯籠は、二股の足がお琴の糸を支える「琴柱」に似ていることから「徽軫灯籠(ことじとうろう)」と呼ばれています。

「水道の遺構」
園内を流れてきた辰巳用水がここから逆サイフォンの原理で金沢城二の丸へ導かれた水道の遺構

徽軫灯籠 の近くにある「水道の遺構」、以前ブラタモリでやってました

唐崎松(からさきのまつ)

13代藩主・斉泰(なりやす)が琵琶湖畔の唐崎松から種子を取り寄せて育てた 唐崎松 は、兼六園内で最も見事な木で、晴れた無風の日に水面に映る枝ぶりもまた美しい。

唐崎松の雪吊り


雪の重みで折れをるのを防ぐための冬の風物詩「雪吊り」が、最初にこの 唐崎松 から施され、最後にはずされることからもわかるように、兼六園で最も大切にされています。


他の庭園では見ることができない兼六園ならではの独特の風情を漂わせる雪吊り

雪吊りの代表的な手法「りんご吊り」

明治10年、西南の役で戦死した郷土出身の将兵を祀った日本武尊(ヤマトタケルノミコト)の像
ハトが寄り付かず、汚れることのない銅像として有名でしたが、調べてみると金沢大学の名誉教授 廣瀬幸雄さんが「ハトに嫌われた銅像の化学的考察」でイグノーベル賞化学賞を受賞されていました。
上野の西郷さんなどの銅像よりもヒ素の割合が多いからだそうです。

見事に整えられた園内の草木は、早朝にもお手入れをされていました

金沢地方気象台のソメイヨシノの標本木が兼六園にあるとは

苔むした山崎山の麓にひっそりと松尾芭蕉の句碑があります。

あかあかと 日は難面(つれなく)も 秋の風
あかあかと射す日差しは眼にまぶしいけれど吹く風はもう秋の気配が

鶺鴒島
誕生」「結婚」「」という人生の三儀式を陰陽石相生の松五重の石塔で表して配し、社殿は無く鳥居だけを据えている「鶺鴒島(せきれいじま)」は、他の大名庭園には見られない珍しい構成で、イザナミ、イザナギノミコトに男女和合の方法を教えた鳥が鶺鴒であると日本書紀に記述があることからその名前が付けられたといわれています。
子孫繁栄を祈願し、大名庭園には陰陽石を密かに配置していました。
花見橋

花見橋から見る、花の季節に咲き誇る桜、カキツバタ、サツキ、ツツジなどの花々の美しいこと。
新緑・紅葉・雪の季節も素晴らしく、兼六園で一番美しいと思う花見橋。

長谷池の近くに灯籠のようなものがありますが

近付いてみると灯籠ではなく、兼六園のガイドマップなどでもあまり触れられていないその名も「ラジオ塔」
受信機を備えたラジオ塔は昭和8年に設置され、家庭にラジオが普及するまでの間、この塔のまわりにたくさんの人が集まってラジオを聞いたとか。
役割を終えた今も兼六園の景観に溶け込んではいるけれど存在感も多分にあり。

梅林もありまして
3月中旬に紅白の花を咲かせます

梅林とお茶処「時雨亭」の間にある「松の傷」
第二次世界大戦末期、日本政府の指示で軍用航空機の燃料にするために松脂を採取した跡、とあります。
松の木の油で軍用機を飛ばすなど真面目に考えていたのでしょうか。
痛々しい戦争の傷跡は、忘れることは許されない過去を静かに語り続けています。

風流な舟形の東屋は、平成12年に再現された「舟之御亭」(ふなのおちん)。
藩主たちが散策の途中で日本海や白山の山並みを眺めながら一服したのでしょう。

お抹茶と上生菓子でひと息つくことができる「時雨亭」は6代藩主・前田吉徳が建てた茶室で、明治時代に取り壊されますが、石川県によって2000年(平成12年)に蘇りました。

兼六園にはいくつかの茶店がありますが「時雨亭」だけは石川県が運営しています

夕顔亭」は1774年(安永3年)に建てられた園内最古の建物で、蓮池庭(瓢池周辺)にあった四亭の一つで、当時のままの姿を今に伝える茶亭です。

瓢箪のような形をしていることから名付けられたという瓢池(ひさごいけ)

日本最古の噴水は兼六園にあるこの噴水だといわれています。
ここより高い位置にある霞ヶ池から地中を通じて水を引き込み、高低差を利用しその水圧により噴き上がっているのです。
江戸時代の技術恐るべし。

兼六園で最もキレイなお手洗い

上坂口の近くにあるお手洗いはpiyonが知る限り、最も新しくてキレイ。
ここから卯辰山方面の眺めもいいです。

矢印のところ

園内のお手洗いはどこも車いす対応です

優美な奥方御殿 「成巽閣(せいそんかく)」

花見橋からすぐの場所に、兼六園に隣接して建つ素晴らしいお屋敷「成巽閣(せいそんかく)」があります。

入館料<企画展>大人・大学生¥700 中高生¥300 小学生¥250
<特別展>大人・大学生 ¥1,000 中高生¥400 小学生¥300
障がい者割引料金 <企画展>一般・大学生¥350 中高生¥250 小学生¥200
<特別展>一般・大学生 ¥500 中高生¥300 小学生¥200
営業時間9:00~17:00
定休日水曜日(祝日の場合開館し、翌日休館)
12月29日~1月2日

成巽閣は武家書院造と数寄屋風書院造を一つの棟の中に組み入れた巧みな様式をもつ建造物であり、江戸時代末期(1860年代後半)の武家造の遺構としては類例のないものと高い評価をいただいており、また、大名正室の御殿としては、日本国内に唯一現存する建造物となっております。

成巽閣HPより

前田家奥方のために作られた優美な御殿「成巽閣」は花鳥や彩色にあふれ、小鳥の絵が描かれたオランダ渡りのギヤマン、「謁見の間」の極彩色の欄間や「群青の間」を代表とする階上の鮮やかな色壁など、見どころ満載です。
女性の観光客さんに強くおすすめいたします。

成巽閣の赤門

奥方の衣裳やお雛さまなどの、企画展も非常に見応えがありおすすめです。
兼六園に面した成巽閣の赤門は、9:00~17:00の開館中は開け放たれているのでこの状態が見られる時間は限られています。

前田家の家紋「梅鉢紋」

加賀藩主前田家の上屋敷は本郷にありました。
1827年(文政10年)加賀藩の第十二代藩主・前田斉泰が、徳川十一代将軍・家斉の娘を正室に迎えるにあたり、当時の慣例「大名が将軍家から妻を迎える際には朱塗りの門を創建する」に従って建築した門「赤門」は、江戸の大名屋敷として唯一残る門となっています。
「本郷」「赤門」 そう!東大の赤門は今も残る加賀藩上屋敷の赤門だったんですね。

随身坂口は写真正面奥を右に折れたところにある

成巽閣の近くにある随身坂口を出て、すぐ左折して写真奥からまっすぐ歩いてくるとこの場所に出ます。

そして左方向に進むと

写真正面が成巽閣の入り口です。つまり兼六園に入らなくても成巽閣に行けます。
もちろん先ほどの兼六園の中から赤門を通って入ることも可能です。
☆兼六園は退園しても、半券があれば当日何度でも再入園できます。

成巽閣から国立工芸館や県立美術館へのルート

写真左に見えるのが石川県立能楽堂、成巽閣入り口の反対側に坂を下ると右奥にちらっと見えている県立美術館国立工芸館などがあります。
県立美術館前の交差点を右に坂を下りて行くと、石浦神社21世紀美術館がありますが、逆方向はちょっとしんどい上り坂になるので
兼六園・成巽閣・金澤神社などを見た後に21世紀美術館や石浦神社をまわる
のがおすすめです。

2020年10月、東京国立近代美術館工芸館が金沢に「国立工芸館」として移転しました。
右の棟は、明治時代建築の将校が集まる倶楽部「旧陸軍金沢偕行社」。左の棟は、金沢城の二の丸跡地に建てられた「旧陸軍第九師団司令部庁舎」で、戦後金沢大学の施設として使われた後、本多の森に移築され、さらに国立工芸館に転用されるにあたって2つの建物がこの場所に移築・改修されました。

県立歴史博物館

この辺り一帯は本多の森といい、もともと加賀藩の筆頭家老本多家の武家屋敷が軒を連ねていました。

秋色に染まる本多の森は最も美しい
県立美術館

県立美術館の中にあるカフェ「ル ミュゼ ドゥ アッシュ」は、席数が多くはないので週末は待ち時間が発生しますが、ケーキの美味しさもさることながら、窓の外の緑がとても気持ちの良い空間でゆっくりお茶できます。

窓に向かって座るカウンター席はおひとりさまの特等席。
窓の向こうの森の奥の階段を下りてさらに歩いた先にある「鈴木大拙館」にも行かれるなら(絶対おすすめです!鈴木大拙館!)21世紀美術館石浦神社からも行けますが、断然こちらのルートの方が趣があり、緑もいっぱいです。
こちらに戻るのは上りの階段がしんどいので、鈴木大拙館の後にフラットな道で21世紀美術館石浦神社に向かわれることをおすすめします。

佐藤さんが生涯をかけて植え続けた佐藤桜

21世紀美術館に一番近い真弓坂口を出ると

真弓坂口を出てお城方向を望むこの場所 蓮池門通り に、一本の桜があります。

旧国鉄バスの車掌佐藤良二さんは、乗務していた金沢から名古屋までの260kmに及ぶバス路線を太平洋から日本海まで桜のトンネルでつなごうと、わずかな蓄えを注ぎ、少ない休暇を使って桜の木を植え続けましたが、約2000本を植えた昭和52年、47歳という若さで病のため亡くなります。
その遺徳を偲んで植えられたという「佐藤桜」

佐藤良二さんのお話は、「さくら」というタイトルで映画化もされ、無償の努力を貫いた生き方に心打たれ遺志をつぐ、名古屋城と兼六園の間250キロを走るウルトラマラソン「さくら道国際ネイチャーラン」も毎年開催されてきましたが、コロナ禍で2年連続で中止となりました。
どうか来年は開催されますように。

佐藤桜は兼六園の中ではなく、真弓坂口を出てすぐ右の坂道(蓮池門通り)を少し上ったところに植えられています。

この地球の上に
天の川のような
美しい花の星座をつくりたい
花を見る心が一つになって
人々が仲良く くらせるように
  (佐藤良二)

美しく尊い志に合掌

兼六園のそばでひっそりと「金澤神社」

1794年(寛政6年)十一代藩主前田治脩が、 金城霊澤 のほとりに菅原道真を祀った金澤神社

随身坂口を出てすぐ、兼六園のすみっこで森に囲まれひっそりと佇んでいます。
兼六園の喧騒は嘘のように静かなる神社。

金城霊澤
金城霊澤(きんじょうれいたく)とは
金沢の地名の由来となった「泉」。
「芋掘り藤五郎がこの湧き水でイモを洗ったところ、たくさんの砂金が出てきた」という伝説から「金洗いの沢」と呼ばれるようになり、「金沢」の由来となった場所と言い伝えられている。
金運のパワースポット。
手水舎

境内の井戸から24時間くみ上げているという手水舎の水は 、24時間いつでも汲める「お水取り」として地元の人に親しまれています。


井戸の水源は「金城霊沢」の地下水源と同じくしており、「金城霊澤の水」として地元の方や県外からの参拝者に、広く親しまれています。6月に開催される、県内最大規模の「百万石祭り百万石茶会」・2月に行われる、石川県文化財保存協会による大寒の糊作りや和菓子作りに使用され、戦没者慰霊式典にも供えられております。
蛍光エックス線分析法により分析した結果、カルシウム・鉄分を多く含み、日本百名水として知られる、富山県上市町の「穴の谷の霊水」と似かよった成分パターンを示しおり、また毎年飲用に適しているかどうかの「水質試験」を行っておりますので、安心してご利用下さい

金澤神社手水舎の注意書きより
清め砂

家や土地などの気にかかる場所にまくためのお清めの砂をいただけます

ここにも前田家の家紋「梅鉢紋」
学業の神様としても有名
映えスポットもございまして

小さな神社ですが金澤神社は「お水取り」に「お砂取り」、金城霊澤は「金運のパワースポット」。
ここは絶対外せない場所でした。

徽軫灯籠(ことじとうろう) だけじゃない!兼六園の灯籠探し

兼六園を何度か訪れて、ユニークだったりかわいかったりさまざまな形の灯篭が点在することに気付きました。
兼六園を散策する際は、ぜひ灯篭も見つけてくださいね。

ハートだ
きのこのような
龍石のそばにも
ここにも
似てるけどここにも
時雨亭のお庭にも
夕顔亭の前にも
瓢池(ひさごいけ)三芳庵の前にも
唐崎松にも
金澤神社にも

ここまでご紹介した兼六園おさんぽコースは所要時間90分ほどでした

兼六園・金沢城公園観光に便利な「兼六駐車場」

兼六駐車場」は最大料金設定がないので長時間になるとお高めですが、兼六園下交差点にあり、一番近くて、大きくて、停めやすくて、新しくて、キレイなお手洗いも完備で、雨や雪でも安心でシニアさんにもおすすめです。

完成部分以外を現在も工事中で警備のおじさんに聞くと、2022年春に全面完成だそうです。
兼六駐車場は2023年3月に完成しました。

住所〒920-0932  石川県金沢市小将町1-53
TEL076ー263-1814
営業時間24時間  
二輪車は利用不可
料金最初の1時間350円 超過30分毎150円
22:00 ~翌8:00/最大 1,060円
駐車台数1階 観光バス 40台
2階~5階 普通車 480台 自走式
EV充電3階 普通充電200V 5基
トイレ1階に2ヶ所
北側(国道側)には授乳室あり
支払い現金・クレジットカード・電子マネー
喫煙室1階 北側

金沢城公園と兼六園の所要時間

今回ご紹介したコースの所要時間は
写真を撮りながらゆっくり歩いて
金沢城公園 60分
兼六園   90分

どこをどれだけ見るかで所要時間は大きく変わりますが
例えば石川門から金沢城公園の五十間長屋を正面からと、兼六園のことじ灯篭だけをぱぱぱっと撮影して出てくるだけなら30分あれば充分です。

まとめます

戦災や大きな自然災害を免れたため、藩政期の遺構や歴史的な建造物や風情ある街並みが数多く残る金沢。
金沢城公園と兼六園に、21世紀美術館や長町武家屋敷跡、近江町市場、ひがし茶屋街、忍者寺、鈴木大拙館などお好みのスポットをくっつけて観光しやすい金沢。

この記事が、加賀百万石の歴史を感じながら金沢のまち歩きを楽しんでいただく際のお役に立てたら嬉しいです。

今回ご紹介できなかった金沢城公園の石垣と鼠多門・玉泉院丸庭園
『【尾山神社から金沢城へ】 おすすめルートと見どころ 金沢観光』
をご覧ください

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