
金沢市広坂の隠れ家のようなお店で、丁寧な仕事と確かな腕でファンの心を掴んでいた「竹千代」が、2025年4月新竪町商店街に移転オープンしました。
興味津々で訪れた 移転後の2025年5月の竹千代をご紹介します。
竹千代の基本情報

住所 | 〒920-0995 金沢市新竪町(しんたてまち)3-15 |
TEL | 076-262-3557(移転前と同じ) |
営業時間 | 18:00~ |
定休日 | 日・水曜日 |
支払い | 現在は現金のみ クレジットカード利用準備中 |
予約 | TEL |
アクセス | ■金沢駅から車で約15分 ■21世紀美術館から徒歩約13分 |
駐車場 | 無し 近隣コインパーキング利用 |
竹千代へのアクセス
竹千代移転先の新竪町(しんたてまち)商店街

新竪町商店街 通称「しんたて」は、ギャラリーやカフェ、古着屋さん、雑貨屋さん、パン屋さん、八百屋さん、などオーナーさんこだわりのセレクトショップや飲食店が並ぶレトロかわいい商店街。
金沢城公園→兼六園→21世紀美術館→鈴木大拙館と巡った先に新竪町商店街があり、さらに足を伸ばして犀川(さいがわ)や「谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館」までは、歩こうと思えば歩ける距離です。
竹千代は新竪町商店街の奥の方

竹千代は、新竪町商店街にあるセレクト雑貨のお店「benlly`s & job(ベンリーズアンドジョブ)」のお隣りです。
竪町ストリートから新竪町商店街につながる横断歩道を渡り、一方通行の新竪町商店街を奥の方まで進み、コインパーキング「三井のリパーク金沢新竪町3丁目駐車場」を過ぎた左側に新生「竹千代」があります。
広坂時代の竹千代をご存じの方は、お店を発見したらあまりの違いに驚きの声を上げるでしょう。
中に入ってさらにビックリです。
夜間の運行はないので、新竪町へ行きだけ利用できるのが、城下まち金沢周遊バスと金沢ふらっとバス。
<城下まち金沢周遊バス>
■左回りルートの桜橋バス停から徒歩約2分
■右回りルートは桜橋バス停には停まりません
城下まち金沢周遊バスの時刻とルートはこちらから
<金沢ふらっとバス 菊川ルート>
■新竪町バス停からすぐ
金沢ふらっとバスの時刻とルートはこちらから
竹千代の店内

ガラガラと引き戸を引くとすぐ目の前に大将!ぐらいの以前の狭小店内を想像していたら、なんと通路が伸びてるではないですか!
石畳の通路がある竹千代!1番最初の居抜きのまま開業していた18年前の竹千代を知るpiyonとしては、感慨深くて涙が出そうです。

高級感のある設えを背景に、目の錯覚なのか心なしか55歳竹内店主まで洗練された料理人に見えてきます。
新しい木の香り漂う空間に映える、大将自ら塗ったという塗りの1枚板のカウンターには、以前よりゆったりとした間隔で6名が座れます。
すべてをお1人でこなしていらっしゃるので、6名ぐらいが限界なのでしょうね。
2,3歩ですべてに手が届いていた広坂の狭小店舗の何倍もの広さがあるので、お掃除も大変そう、と余計な心配。

5人が座れる炉を切った別室のカウンターの天板は畳。
こちらは、コース最後のお抹茶とお菓子をいただいたりするスペースのようです。
竹千代のお料理

竹千代のお料理は、13,000円~15,000円くらいのおまかせコースのみとなっています。
日本酒は以前と変わることなく、大将のふるさと山中温泉の超辛口純米「獅子の里」。
竹千代のお酒のラインナップは、少なめです。

竹千代お馴染みのコースが始まります。
1品目は、季節を問わず最初に登場する竹千代の代名詞とも言える、滑らかな極みの自家製胡麻豆腐。
竹千代のお料理はすべてが手作りなので、自家製なんて付けると大将に怒られますが。

そして新たに竹千代のメニューに加わったのがすっぽんです。
甲羅の縁のゼラチン質の部分「エンペラ」はコラーゲンをたっぷり含んでぷるっぷる。
翌朝のお肌の変化を期待せずにはいられないぷるるん具合で、独特の匂いなどは全くなく
すっぽんのスープもたまりません。
みんなで絶賛したら、「これだけの少ない量ってこともあると思います」とおっしゃる大将でしたが、謙遜はされない方なので事実を述べていらっしゃるのでしょう。
臭み消し(必要ありませんが)の意味で添えられた生姜で、味変も楽しめます。
すっぽんの甲羅は炊くと柔らかく食べやすくなるけれど、身の方は美味しさがスープに出てぼそぼそになって美味しくないのだそうです。
すっぽんは英語で「Soft shelled turtle」と教えてくれる大将。
なんで甲羅がこんなに柔らかいの?と不思議でしたが、なるほど!と一同納得。

ふくらぎの漬け
さっぱり。
出世魚ぶりの幼魚「ふくらぎ」
こぞくら→ふくらぎ→がんど→ぶり
と金沢では呼び名が変わる

ハマグリとワカメ
ハマグリのお出汁は旨みがしみわたります。
旬のワカメもとろりん&柔らか。

こちらも竹千代お馴染みの酒泥棒珍味の一皿。
ホタルイカから時計回りに、甘えび、鯖の粕漬け(へしこ)、ファンが多い3年・5年・6年モノのからすみ。
どれも丁寧なお仕事と時間をかけただけあって、それぞれの深い味わいを楽しめ、からすみの食べ比べも楽しいのです。
鯖の粕漬けへしこは「ぬか漬けでしょって簡単に言ってほしくない」手間と時間をかけた発酵食品。
越冬の保存食として
日本海側で古くから親しまれている郷土料理「へしこ」
へしこ独特の旨みを活かしたパスタなんかも美味しそう♡

お馴染みメニューが続きます。
イチから手作りの自家製こんにゃく。
ムニュっとした市販のこんにゃくとはまったく違う食感です。
こんにゃくなのに独特のコクがあるのは、お肉のお出汁でした。
こんにゃく農家さんも減って、以前のように簡単にはこんにゃく芋を入手できなくなっている、とお嘆きでした。

こりこり軟骨がやみつきになる、これもお馴染み鶏つくね。
鶏のお出汁がたっぷりしみ出ているけれどキレイなスープなのは、丁寧な下ごしらえをしている賜物なのでしょう。
竹千代のお出汁はすべて飲み干すpiyonです。

この日のがんもどきは、ほのかな白味噌仕立て。
聞くとびっくりするほど多くの具材が入ったがんもどきに、お出汁をたっぷりと含んだ車麩。
すき焼きのお肉のようでもあったので、これもお肉のお出汁なのでしょう。

5月の土鍋ご飯は、豆ごはんでした。

5人でお邪魔していたのでちょうど5人が座れるおとなりの部屋へ移動してお菓子とおうすをいただきます。
炉を切った茶室のようなこちらのお部屋は、凛とした空気が流れ、隠れ家のようでもあります。

これも定番の、小豆をココアで炊いたチョコレート風あんこのお菓子。
美味しいんです。ごちそうさまでした。
竹千代 まとめます

いちいち小芝居を挟みながらの、すべてをお1人でこなす「竹千代劇場」に魅了され、楽しい時間はあっという間。
驚くような高級食材もありませんし、派手なパフォーマンスもありません。
ボリュームに驚くこともなく、ドリンクの種類も少ないです。
物足りなさを感じる方もいらっしゃると思います。
だけど通い続けるファンがいるのは、他のお店では味わえないものがここ竹千代にはあるからなんです。
朝、近江町市場への買い出しから戻ると丁寧に完璧な仕込みをされているので、ひとつひとつの美味しさに心動かされながら「本当か冗談なのかわからないような大将のおとぼけ話を聞く→ツッコむ 」を繰り返しているのに、いつの間にか次のお料理が現れます。
いつの間にか火にかけられ、いつの間にか火を止めて蒸らしに入っている土鍋ご飯。
一見、頑固で無口で素朴な職人さんに見えますが、こちらから話しかけて心の扉をグイっと開けてしまうと、素材や調理法など質問にも答えてくれるし、料理の世界のことを教えてくれたり、一人でカウンターに座っても(最近はおひとりさまはお断り)竹千代劇場を楽しめます。
とは言え店主の竹内さんも、もう50代半ば。
時間と手間を惜しむことなく丁寧に食材に対峙してプロの技を光らせたお料理の美味しさをしみじみと感じながら竹千代ワールドに浸る喜びをこの先も長く味わいたいので、いつまでも健康で頑張っていただきたい、と切に願います。